この命、まだ落とさない

命を奪う戦場から、命と向き合う戦場へ。
それは、方法こそ違えど、命に対しての戦いだった――。

テーマ性の持つ重さもさることながら、主人公の元兵士が「戦場で生きるコマ」から「人の命と向き合う者」へと、徐々に変化していき、心を取り戻していく様子が、実に心を打ちます。
そんな彼に与えられた名前も、彼の戦場での活躍からついた呼び名とは全く対照的なものとなっているのも、強烈なメッセージ性を感じます。
月並みですが、文字通り「生まれ変わった」みたいなものを感じます。
ある意味では、「彼女」は死んでいた彼の心をもこの世に引き戻した、とも言えそうです。

医療ものですが、難しい前提知識などは必要としません。
むしろ、専門的な知識を持っていない人にこそ読んでほしいとすら思います。
ひたすら、ギリギリの場所で命とまっすぐに向き合う本作。
是非ともご覧ください。

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