“殺す手”が、“救う手”へと変わるとき
- ★★★ Excellent!!!
入院モグラ先生の「Eden」を第一章まで読み終えて、私はしばらく深く息を吐くことしかできませんでした。命を奪うための“兵士の手”が、初めて“命を繋ぐ”という体験に触れた瞬間――その描写があまりにも静かで、切実で、心に刺さりました。
かつて“殺すための手”だった青年が、“救う”ために震えながら胸を押す――この物語は、その瞬間にすべてが動き始めます。『エデン』という新しい名を得た彼が、生と死の狭間で心を揺らす描写が、本当に繊細で美しかったです。
静かな描写の中に、命の重みと、生き返ることの奇跡がしっかり刻まれていて、読みながら自然と息を詰めてしまいました。ハンニバル少佐の凛とした姿や、仲間たちの軽口さえ沁みる機内では、痛みと優しさが折り重なり、ただ冷静なだけじゃない“本気の情熱”が、エデンの迷いを少しずつ溶かしていくのですね。
兵士としての過去を持つ彼が、新たな「戦場」で“生きる意味”と向き合っていく姿。これはただの医療ものではなく、命と赦しの物語だと感じました。こんなにも無骨で、優しい物語があるなんて――この物語に出会えて、本当に良かったです。