第23話賠償金
翌日ー。
「母さん、仕事行ってくる。新しい良美、よろしく。」
「なあに。拓哉、新しい良美だなんて。よそよそしい。良美ちゃんって言いなさい。」
「ごめん。慣れなくて。良美ちゃん、兄ちゃん仕事行ってくるね。」
「キャッ。キャッ。」
♢
「おはよー。拓哉。」
「おっす。勝馬。」
「今日こそは飲みに行くぞ。」
「一杯だけな。」
「一杯だけえ?まあ、良いけど。」
鈴木警部補は仕事に取り掛かる。ここんとこ平和だ。事件があると言ったら万引少女や教師によるわいせつ罪など、軽い事件が多い。ただ舟の転覆事故以外は。
鈴木警部補は、疑問に思っていた。早川町の副町長にあのゲームを海のところにでも沈めておくれと言われたが、その通りにしても良かったのだろうかと。副町長も俺も浅はかだったのではないかと。
鈴木警部補は嫌な予感がしていた。
休憩中ー。
鈴木警部補は賠償金を支払うために、銀行へ行った。
番号札を取る。
「54番の方、3番窓口まで起こし下さい。」
鈴木警部補はアナウンス通りに3番窓口へと向かった。
受付の方が。
「大変、お待たせしました。」
「送金したいんですけど。」
「かしこまりました。」
受付の方がパソコンをいじる。
「変ですね。満額になってますけど。」
「えっ?本当ですか?」
「さようで御座います。」
「相手は誰ですか?」
「早川町、町内会と記載されています。」
「分かりました。」
鈴木警部補は直ぐに銀行を出て、スマホで早川町の町内会の電話番号を調べた。
トゥルルルルーーー。
『はい。早川町、町内会です。』
「もしもし?僕は鈴木警部補ですが、副町長お見えでしょうか?」
『鈴木警部補さん、わしだ。副町長だ。』
「送金の件、、、。」
『なあに。我々は良美さんに迷惑を掛けた。お亡くなりになったと聞いたので、観光の収入源を賠償金に当てただけですよ。それより、鈴木警部補さんは大丈夫ですか?大事な良美さんを亡くして。』
「、、、。ありがとうございます。副町長。早川町の皆にもお礼を言っといて下さい。」
『鈴木警部補さんだけでも、また来町して下さい。』
「ありがとうございます。」
鈴木警部補は電話でお礼を言うと、仕事場へと戻った。
休憩時間も終わり、事件の書類の整理に取り掛かった。
勤務時間が終わる頃、勝馬が。
「一杯やるぞー!拓哉!」
「一杯だけな。勝馬。」
2人は勤務を終え、ひどりという居酒屋へと足を運んだ。
勝馬は、生ビール二杯とアサリの酒蒸しなどつまみというか、夕食というかそれなりの物を、注文した。
「お疲れ。勝馬。」
「お疲れ。」
2人は乾杯した。
「なあ。拓哉、また例の場所で舟の転覆事故があったらしいな。」
「また!?」
「知らなかったのか?今日の休憩中、その話で持ちきりだったぞ。」
「俺、銀行行ってたから。」
「魔の海峡と言われてるらしいぞ。」
「、、、。」
「警部補とあろうものが恐れを成したか!?」
「そんなんじゃねーよ。」
勝馬と鈴木警部補は例の船の転覆事故から他のいたる事件まで話しながら、店を出た。
「拓哉、お前明日オフだな。」
「ああ。」
「俺ら忙しいんだから、ゆっくりしろよ!」
「サンキュー。」
鈴木警部補は、事の重大から駄目元で、海上保安庁に事実を話そうかどうか悩んでいた。
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