第17話黄泉の国へ
クルーザーは、良美が身投げした所で留まる。
海上保安庁の隊員がやって来た。
海の中を詮索するところ、4時間。今だ良美は見つからない。
鈴木警部補の瞳は魂が抜けたようになっていた。
そして、もう5時間。
ようやく、良美は引き上げられた。
海上保安庁の隊員の一人が鈴木警部補に告げる。
「残念ながら、息を引き取りました。」
鈴木警部補は、何も言わない。
クルーザーの船長が鈴木警部補に近づいて来た。
「こんなことになって申し訳ないんですが、この方のご家族のご連絡先はご存じですか?列車の事故同様、クルーザーの自殺は、賠償金を払って貰わなければなりません。」
「、、、僕が払います。」
「そうですか。では、この契約書にサインを。」
鈴木警部補は坦々とサインする。
お金を払うことで自分の中で良美が風化しない。そう思った。
♢
「良美!良美!」
「う、、、ん。」
「俺だ!真人だ!」
「私よ!愛佳よ!」
「真人!愛佳!」
「お前も死んでしまったのか!?」
「うん、、、。」
「良美だけは、生き残って欲しかったのに、、、。」
「愛佳、、、。弘幸は?」
「分かんない。」
「俺も。ここは黄泉の国だが、信じられないことにスサノオノミコとかアマテラスオオミカミとかがいねーんだよ。それよか古代エジプト文明の世界みたいなんだ!」
辺りを見回すと、太古の人々が人の手で自ら石を緻密な計算で積み上げたピラミッドがいくつも不思議な雰囲気を放ち、建っていた。それは、現代の技術よりも遙かに美しい。
突然、良美の魂が分岐し出した。
「うっ。」
「どうしたんだ!?」
「どうしたの!?」
黒い影が良美の体から現れ、そして世にも恐ろしい美男子、ツタンカーメンが姿を現した。
「やっと、僕の者になることを決意してくれたんだね。」
「誰が!これ以上、犠牲者を出さないためよ!」
「愚かな日本人。ここの日本の神々共も葬ってやった。なんと弱々しい。我に勝てると思うなよ。このエジプトの美しいファラオに。」
真人がツタンカーメンに襲いかかる。
「愛佳!良美!逃げるんだ!常世の国へ!常世の国には日本の常世の神がいる!」
「真人は!?」
「俺のことはいい!」
「邪魔だ!お前もやわな日本の神々同様、葬ってやる!」
「愛佳!良美!行け!早く!」
黒い闇が真人を覆い被さる。そして、真人は消えた。
「良美!真人のことを思うなら逃げるわよ!」
「真人のことを無駄にしたくない!」
2人は全速力で走った。向かうは生の世界と対になっている東京湾の海。良美は東京湾の海で死んだ。黄泉の国に来ても東京湾は直ぐそこにある。
2人は黄泉の国の東京湾に跳び込んだ。
ツタンカーメンは追わなかった。
「後のことは、任したぞ。我妻だったアンケセナーメンの生まれ変わり、弘幸。」
「承知しました。ツタンカーメン様。」
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