第11話満月

翌朝。


「ニュース見ないと。」


パチッ。


(鈴木警部補は警察官らしく知的だ。私は韓ドラばっかり。)


「かの有名な祈祷師は銀座高級クラブさゆりで突然死しました。その場にいた者も全員突然死するという奇怪な事件が起きました。人々はこれはツタンカーメンの呪いと噂しています、、、。」


「これ以上、犠牲者を出さないようにしなきゃいけないな。」

「うん。鈴木警部補。」

「チェックアウトするか。今日は山に登るぞ。」

「はい!」


清水旅館、カウンター。

例の女将が鈴木警部補に話しかける。


「そちらの方の名字はこの町と同じ名字ですね。」

「そうですけど。」

「町長がお会いしたいそうです。」

「どうする?良美さん。」

「会います。」


女将は2人を町長の元へと案内した。

清水旅館と同じくらいの立派な家。でもどこか怪しげな雰囲気を持っている。


「これは、これは、ようこそ。早川町に。私は立花勝司たちばなかつじと申しまして、この町の町長です。」

「初めまして。早川良美です。」

「我が町には言い伝えがあります。満月の夜に早川町と同じ性をもつ女子おなごがこの早川町に参ったら、お守りするようにと。昨日は、満月だった。」

「それは、どういう意味ですか?」

「鈴木警部補。」

「あなたは、霊に取り憑かれている。そして、貴重な物を持っている。」

「どうしてそれを?何で私のことが。」

「我々は常世の国に仕える身。何でも分かるのです。あなた方はその貴重な物を山の中に埋めようとしている。我々がそれを厳重に保管してもいいですか?」

「この貴重な物、、、ゲームは人を死においやるのよ!こんな危ない物を託す訳にはいかないわ!」

「大丈夫です。我々には通用しない。山で、偶然、掘り起こされるよりはましかと。」


良美は迷ったがリスクを考えて、町長にゲームを預けることにした。


「立花家の金庫にて厳重に人目に触れぬよう保管します。」

「お願いします。」


「良美さん、山に埋めた方が。」

「警部補さん、わしの孫、次郎じろうを探して来てくれませんか?わしが叱ってから戻ってこぬのじゃ。警察官として早川町のために動いて欲しい。」

「分かりました。」


正義感が強い鈴木警部補は即答した。


「町長、良美さんをよろしくお願いします。」

「鈴木警部補!私も!」

「大丈夫。良美さんはゆっくりしてて。」

そう言って鈴木警部補は町長の家を後にした。


良美が一人になったことを見計らって、町長は副町長を呼んだ。


ドスッ。


良美は呼ばれた副町長によって腹を殴られ、気絶させられた。


良美が気づいた時には見たこともない座敷牢の中。


(な、、、んで。)


町長が座敷牢越しに良美に言い放った。


「我々は常世の国ではなく、正確に言うと黄泉の国に仕える身。我々はツタンカーメン様を崇拝しておる。悪いが君にはこの町に留まってもらうよ。」

「嫌よ!ここから出して!」

「ならぬ。諦めることだな。」


良美は座敷牢の入口をドンドンと叩く。ここから出してと。

その叫びは虚しく誰にも届くことはなかった。

良美は全身で入口を体当たりするが、びくともしない。


「鈴木警部補ーーー!せっ。せっかく思いが通じ合ったばかりなのに、、、。うっ。」

良美は大泣きした。



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