第48話

 花屋が山札の一番上から黒いカードを一枚引いた。


「……なるほど」


 それから、わたしの手札から一枚を選んで攻撃する。


《吉高》

 ❸◯●❺◯●

   ⬆

「❹」


「正解ッ!!」


 わたしの手札の中に❸と❺が含まれてしまっている。その間に挟まれている●は必然的に❹であることが確定する。


「花屋、続けて攻撃」


 花屋はすかさず、前回外した白いカードを指差した。


《吉高》

 ❸◯❹❺◯●

  ⬆

「③」


「正解ッ!!」


 花屋が連続で正解する。


 ❸と❹の間に入るカードは③しかないので、こちらも既に確定している。


 ……流石に花屋が確定しているカードを外すようなことはことはしないか。


「花屋、更に続けて攻撃」


 ……マズイマズイ。

 このままカードを当てられれば、200万円の借金生活。債務者生活に真っ逆さまだ。


 勢いに乗った花屋がスルスルと指を❺のカードの先に伸ばす。


《吉高》

 ❸③❹❺◯●

     ⬆

「⑥」


「不正解ッ!!」


 わたしは思わずホッと溜息を漏らした。


 攻撃を失敗したことで、山札から引いたカード、❻が花屋の手札に加えられる。


《花屋》

 ⓪②〇❻●●


 お互いに二度の攻撃を終えて、明らかにされたカードは以下の通り。


《吉高》

 ❸③❹❺◯●


《花屋》

 ⓪②〇❻●●


 花屋の連続成功によって、一気に形勢を逆転されてしまった。


 わたしの手札の中の伏せられたカードは残り二枚。この二枚のカードの数字を当てられる前に、花屋の残りカード三枚を当てなければならない。


 ――できるだろうか?

 ――そんなことが、このわたしに。


「どうしました吉高さん? 浮かない顔をして」


 花屋が心配そうにわたしの表情を覗き込む。


「……わからないよ」


「……え?」


「全然わからない。こんなことをして、一体何が楽しいのか。わたしにはちっとも理解できない」


「……そうですか。でも僕は今、吉高さんと戦えてとても楽しいです」


「……あっそ」


 わたしは山札からカードを一枚引く。引いたカードは⑥だ。


 わたしは花屋の手札の②と❻の間の白いカードに狙いを定める。


《花屋》

 ⓪②〇❻●●

   ⬆

「⑤」


「正解ッ!!」


「いやー、お見事です、吉高さん」


 花屋がパチパチと拍手しながら言う。


「どうして僕のこのカードが⑤だとわかったんです?」


「……そんなこと、別に大して難しいことじゃないだろ。②と❻の間にある◯だから、まず候補に挙がるのは③④⑤のうちのどれか。そのうち、③はわたしの手札の中で既にオープンにされている。すると、残る候補は④か⑤のどちらかにまで絞られる」


「……なるほど。あとは2分の1の確率に賭けたということですか?」


「まさか。伏せられたカードを推理する材料は、何も現物のカードだけに限られてはいないでしょ?」


「……と言うと?」


「花屋君、君が最初の攻撃ターンで予想した数字だよ」


《吉高》

 ❸◯●◯●

  ⬆

「④」


「あのとき、君はわたしの手札の③のカードを④と予想した。ここからわかることは、花屋君の手札の中に④は入っていないということ。そこまでわかれば、②と❻の間の白のカードは消去法で最後の一つ、⑤だと割り出せる」


「ブラボー!! 実に素晴らしいッ!!」


 花屋は手を叩いて益々大喜びの様子だ。


「……これくらいは情報を正しく整理すれば誰にだってできる。君はまだ心のどこかでわたしのことを舐めているんじゃないかな?」


「そんなことはありません。自身も大きなリスクを負っている中、ここまで冷静でいられることなど、そうそうできることではありませんよ。吉高さん、あなたは充分お強い」


「……そりゃどうも」


「でも、ただお利口なだけでは僕には勝てませんよ。さァ吉高さん、最後までギャンブルを楽しもうではありませんかッ!!」

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