勝利の毒杯
第29話
わたしが
ほんの短い付き合いではあるが、花屋の人となりに関してはおおよそ理解したつもりである。三度の飯よりギャンブル対決が好きで、勝負事には滅法強い。……それから少しエッチだ。
ただ、花屋のことを知れば知る程、わたしとは別の世界の住人であることを再確認することになるのだった。
最初は興味本位で覗いたギャンブル対決の世界だったが、そこで賭けられる金額が大きくなっていけばいく程、わたしにはついて行けないという気持ちが強くなる。花屋の存在がどんどん遠離っていく。
正直、わたしはこれ以上、花屋にギャンブル対決を続けて欲しいと思っていない。花屋が如何に強くても、勝負に絶対は存在しない。存在しない以上、何時かは必ず負けるときがくる。
花屋はそれすらもスリルとして楽しんでいるようだが、わたしは友人の破滅する姿など見たくない。だから、これ以上は花屋と関わることはやめよう。そう思っていたのだ。
それなのに、わたしはまだ花屋から離れることができていない。どういうわけか、生徒会の
わたしはこれからどうしたらいいのか?
わたしはこれからどうしたいのか?
それすらもわからないまま、日々をやり過ごしていた。
「花屋君は生徒会付きになって、何をするつもりなの?」
「……そうですね。この学校にいる生徒会付き全員と勝負してみたいです。まだまだ僕の知らない強敵がいるのだと思うと、血沸き肉踊ります」
「……あのね、これまでは運よく勝てたからいいようなものの、こんなこと続けてたら何時か痛い目を見るよ?」
「ええ。それは重々承知の上です。だけど
「……どういうこと?」
「たとえば100メートルを9秒台で走れる人がいるとします。もしその人に明日から走るなと言って、その人が走るのを辞められると思いますか?」
「…………」
「極端な例ではありますが、僕にとってのギャンブルはそういうものなのです。ギャンブルをしている間だけ、僕は生きていられる。相手との真剣勝負、ギリギリの極限状態まで追い込まれたとき、僕は自分の『生』を実感できるんですよ」
「……結果、負けることになったらどうするつもり?」
「そのときはそのときです。相手が僕より上手だったのなら仕方がありません。そのときは、ただ笑って死ぬだけです」
「…………」
――翌日、教室に入ると、わたしの机の上に躑躅森が座っていた。
「花屋の次の対戦相手が決まった」
躑躅森は花屋を嫌って、何故かわたしに連絡を寄越してくる。
「花屋に伝えろ。放課後、図書室に来るようにとな」
「……花屋君の次の相手は誰なんですか?」
「図書委員長・
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