足跡

小さな頃は、曇ったガラス窓に足跡を書いていた。


拳をにぎって側面を押し当て、その上に小さな丸を5つ書き加える。

すると、ちょうど赤子くらいの小さな足跡ができる。


妹と2人で左右交互に書きあって、上へ上へと登らせる。

ギリギリまで背伸びをして足跡を上まで登らせて、達成感で笑いあっていた。



妹がいなくなっても、大人になっても、冷える日には片足だけの足跡を書いた。

見えない所で、もう片方を書いてくれるのではないかと、半ば祈りのような気持ちで。


ある朝、細い糸の集合のような跡が、まるであの頃の妹くらいの子供の頭を押し付けたようなそんな跡が、足跡の隣に点々とついているのを見つけてからはもう足跡は書かなくなった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る