第2話 カゾとクーヘル:成長



 カゾという人間の男の子は、妖精が大好き。


 一目でいいから妖精に会いたいと思っていました。


 しかし、妖精は空想上の生き物。


 存在しないと皆はいいます。


 けれど、カゾは妖精がいると信じ、探し続けます。


 子供のころに、迷子になっていたカゾは、一度だけ妖精を見た事があるからです。


 しかし、カゾがいくらそのことをいっても、他の人は信じません。


 信じてほしいのに信じてくれないカゾは、むきになってしまいます。


 だからカゾは一人で、色々なところを探しました。


 山の中、川の近く、使われていない家の中。


 なかなか見つからないのは、人のいない場所に妖精がいるからだろうと考えたため、カゾはどんどん危険な場所を探すようになりました。


 だから、誰もいない森の中で、崖から落ちて怪我をしてしまいます。


 そこはまったく人が通らないところだったため、カゾを誰かが見つけてくれる可能性はとても低かったです。


 このまま死んでしまうのかと思ったカゾは大泣きしてしまいます。


 けれど、そんなカゾの目の前に再び妖精が現れました。


 その妖精は、妖精しか知らない秘密の通り道をつかってカゾを助けてあげました。


 人間がいる場所までたどり着けたカゾは、大喜び。


 だけど、今度は妖精に会った事は誰にも言いませんでした。


 妖精が人前に姿を現さないのは何か理由があるからだと思ったからです。


 命の恩人に会えないのは寂しいですが、カゾは少しだけ大人になる事に決めました。


 自分の事より、妖精の事を考えて心の中にだけ、本当の事を秘めるようになったのでした。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る