何も知らない相手からの無責任な誹謗中傷。
現実では表面を繕ってばかりの様々な人間関係で、心が疲弊する。
恐らくは誰しもが一度は経験したことがあるだろう。
何かに安らぎを見出したなら、それにどっぷり浸かっても何もおかしなことは無い。
この物語の主人公も、そうして深夜のチャットルームに安らぎを見出した一人である。
そこで出会った「カゲロウさん」との優しいやりとりに、段々と心を開いていく。
どこか物悲しい雰囲気のある文章で、一人の女性の心の動きを繊細にもしっかりと表現している。
やっと見つけた平穏。そこに不穏な噂を聞く。
あるハッカーにされた忠告。変化したカゲロウさんの様子。
出会いと別れ、その経験からくる人の成長を、つぶさに描いた作品です。
自らの人生を振り返り、出会いというものについて改めて考えさせられました。