昔話の“その後”を生きる者たちの、喪失と再生を描いた静かで力強い伝承譚

本作は、かつて語られた“昔話”のその先を丁寧に描く、重厚で情感豊かなファンタジー作品です。静謐な筆致で紡がれる描写は、登場人物たちの内面を深く掘り下げ、読者に静かな余韻を残します。
とりわけ、過去に傷を負った者たちが、再び希望を見出そうとする姿は印象的で、ひよりと一針、それぞれの視点が繊細に交互しながら物語に厚みを与えています。
遺物に宿る意思、伝承という概念の再解釈、人々の想いが形となる“力”の扱いも、世界観に奥行きを持たせています。
これから先、どんな希望が芽吹いていくのか……続きを心から楽しみにしています。