四季送り if

空白

姉妹喧嘩勃発 !?

[ 秋視点 ]


今日も甘味処あびは 何時も通り 、従業員として走り回ってる夏と厨房で料理をしている祝と 、隅の方であいも変わらず眺めている冬と 。何も変わらないはずだったのだ 。そう 、変わらないはずだった 。


「 もういい ! お姉ちゃんなんて知らない ! 」

「 私こそさきなんて知らないもん ! 」


甘味処に響き渡るのは 春と14番の喧嘩する声 。

夏は知らん振りをしているようで 、俺の前に珈琲を置いた 。


「 はい 、柊月 。 珈琲とサンドイッチですわ 。 」


ありがとう 、と受け取ると 何も聞こえてないように 夏は冬の反対側に座ってにこにことしている 。


「 夏雪は 甘めのカフェオレですわね 、どう ? 美味しい ? 」


夏と冬の距離感が最近おかしい気がするが 別に昔からだった気がするし どうだっていい 。それよりも 、耳障りなほどの声量で 喧嘩している彼女達の方が問題だ 。


蠱毒は見て見ぬふりをしているし 、閻魔はそろそろ何とかしなければ 壁を破壊しそうで怖い 。そんな力が閻魔にあるかは …… いやあるかもしれない 。


「 おい 、お前ら そろそろ …… 」


と声をあげようとした時に 彼女達の真横に何かが投げられる音がした 。


「 …… すまない 。手が滑ってしまった 。 」


そう冬の声が聞こえて 其方に視線をやれば 冬の飲んでいたカフェオレのグラスの残骸が落ちていた 。


それに驚いたような怯えたような顔をする彼女達のことを気にすることもなく 夏との会話に戻っていく冬を見て 冬にも “ 邪魔をされたくない ” 時があるのだと思い知った今日この頃 。

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