第19話


この世の中から、私1人が消えても、探す人は居ない。


この世の中から、私1人が消えても、心配する人は居ない。


アイツだけが私の人生だった。


それを壊したのは、狂った私。


乱舞した狂気を止める術を私は知らない。


だから、アイツが居る世界を壊した。


精密に、完璧に、計算された完全犯罪。


アイツと待ち合わせたマンションに行く為に履いていたパンプスは捨てた。


指紋を拭き取って。


ワイングラスもワインボトルも、割ってしまえば良い。


除夜の鐘が終われば、次の場所へ向かう。


その前に、もう少し眠ろう。


仮に、目が覚めなければ、それで良い。


人生と言うすごろくゲームを一緒にしていたアイツは居ないのだから……

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