第35話


若い男の言う言葉は正論だと、今の俺なら分かる。



「俺がアイツを守る」



その言葉を聞いて、助手席のドアを開けた俺は男に言った。



「赤い月と赤い曼珠沙華と赤い瞳は、全て娘の事だったんだな」



それに『さぁな』と答えた男の声を背中で聞いて、白のレクサスから降りた俺。


すると白のレクサスはエンジン音をたてた後走り去った。


不思議な感覚だ。


俺が娘を探している間、あの男は俺を待っていたと言った。


多分、俺が刑事を辞めた事も知っているだろう。

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