第3話 パーティー前日
※本作は一部に生成AI(ChatGPT)による言語補助を活用していますが、ストーリー・キャラクター・構成はすべて筆者が作成しています。
ご理解の上でお読みください。
1
案内された先は、宗教法人が運営しているというホステルだった。
外観は白く整っており、十字とも幾何学模様とも取れる装飾が壁一面に施されている。
中に入ると、ジェーンと同じ服を着た女性たちが並んでいた。
レースのベール、首元まで隠す白い長衣、白手袋。肌は一切露出していない。
「Welcome. Please, come in.」
彼女たちは穏やかな笑顔で、彼らには分からない言語を口にする。
ユウは一瞬きょとんとして、カケルの方を見る。
「……今の、何語?」
「私も分からないです...」
完全には分からない。けれど、挨拶だということくらいは伝わった。
そのとき、ユウのポケットの中で、スマホが小さく震えた。
《……音声検出》
《……英語?》
画面に一瞬だけ、解析中の文字列が流れては消える。
誰に向けるでもなく、スマホがひとりで首を傾げているようだった。
「彼女たち、ワタシの同僚デス」
ジェーンはいつも通り明るく言う。
「ここ、神さまの家。みんな、神さまに仕える人デス。この後、神聖な料理、一緒に食べマス。」
そのまま、夕食の時間へと案内された。
長机の並ぶ食堂。
トレイが配られ、その上に載っていたものを見て、ユウは目を丸くする。
「……ハンバーガー?」
「フライドポテトも。陸から輸入された雑誌で見たことあります。」
どう見ても、街で売られているファストフードだった。
「Tonight’s meal is sacred.」
同僚のひとりが英語でそう告げる。
声色は穏やかで、冗談の気配はない。
「……えっと」
ユウは思わずジェーンを見る。
「これが、神聖な料理なの?」
ジェーンは少し誇らしげに頷いた。
「ハンバーガーは、神さまが私たちに贈ってくださった野菜に、無から生み出しなさったパンを挟んだ、神聖な物デス」
「……無から?」
「油も、大体、同じデス」
説明は簡潔だった。
だが、納得できるかどうかは別問題だった。
そこへ、食堂の奥から一人の女性が現れる。
ジェーンより少し年上で、同じ装いながら、どこか落ち着いた雰囲気をまとっている。
彼女――このホステルの長は、英語で短い祈りの言葉を述べた。
「May this meal remind us of His grace.」
意味は完全には分からない。
それでも、場の空気が一瞬で引き締まったのは、はっきり感じ取れた。
合図とともに、食事が始まる。
ユウはハンバーガーを手に取り、少し迷ってから口に運んだ。
味は、よく知っている味だった。
――神聖と呼ぶには、あまりにも身近で。
けれど、その“当たり前さ”が、逆に落ち着かなかった。
2
魔女会当日の準備が進む中、ケイはスタッフとして割り当てられた区域の見回りをしていた。
___連動してるスマホから聞けるホステル内での会話。どこからどう聞いても彼女たちは英語で会話している。
(……やっぱり英語だよな。まあユウたちも国違うのに日本語で話してるけど。)
違和感を拭えないまま廊下を歩いていると――
奥の個室から、甲高い叫び声が響いた。
「ふざっっっけんじゃねえ!!」
次の瞬間、ケイは反射的に扉を開けていた。
部屋の中央に立っていたのは、小柄な赤髪の女性。
ボサボサのミディアムヘア、鋭い三白眼が完全にジト目になっている。
そして彼女の手には――
黒と白の、どう見てもバニーガールの衣装。
「……状況を聞いても?」
ケイが冷静に問うと、女性は衣装を床に叩きつけた。
「当日に着る服がクローゼットに入ってるって言われてよォ!」
「開けてみたらこれだ! どう見ても変態衣装だろうが!!」
隣では、主催側の使い魔が涼しい顔で頷いている。
「いいじゃないですか。パーティーですよ?
それに持ち帰りも可能ですし。今度、旦那さんとの特別な時間に――」
言い終わる前に。
「着れるわけねえだろ!!」
「それにアイツは旦那じゃねえ!!」
怒号が部屋を揺らした。
ケイは一瞬、言葉を失った。
――が、すぐに視線を逸らし、指先を軽く弾く。
空間が歪み、柔らかな光とともに一着のドレスが現れた。
落ち着いた深い色合いで、露出は控えめ。体の線を無理なく美しく見せる仕立てだ。
「……こちらを」
「サイズと動きやすさを優先しました。悪くないはずです」
女性――ヴェラは一瞬警戒したように睨んだが、ドレスを手に取って確かめる。
生地を指でつまみ、縫製を見て、ふっと口角を上げた。
「……悪くねえな」
そしてケイを見る。
「ありがとよ、あんちゃん」
その言い方に、ケイはわずかに目を細めた。
彼女の素性は分からない。だが――面倒なタイプであり、同時に信用できるタイプだと直感する。
床に転がるバニーガール衣装を一瞥し、ケイは使い魔に低く告げた。
「……次は、相手を選んで冗談を言ってください。冗談じゃ済まない方もおりますので。」
使い魔は気まずそうに視線を逸らした。
部屋を出る際、ケイはふと思う。
(この魔女会……始まる前から想像以上に、厄介だ。)
白く整えられた廊下を歩きながら、ケイはこの宴が問題なく終わらないことを、もう確信していた。
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