第5話 自分にあるもの!

俺の他には生き残りは1人、それも女の子だけなんだ。

おばあちゃんは本当に亡くなたのか? 死体はどうなつなんだ?


「俺には、おばあちゃんがいました、昨日討伐に行ってそれきりなんです」

思わず涙が溢れて来た、最後の肉親を亡くしてしまってこの先どう生きる、そんな考えをしていたら涙が止まらない。


「少年、今回の事はどうしようも無い災害だよ! この領に初めて出る魔物であったし、村民の武器では恐らくは刃が立たない魔物だった」

そんな魔物が何処からか出たんだよ、みんなが如何にもならない魔物なんてさ!


「我ら騎士団でも、魔法使いとの合同で死者は出さなかったけど、怪我人は居る。

村民の魔法使いなら訓練はしていないから大型の魔法は使えなかったはず、仕方がなかったんだよ!」

騎士団でやっと勝つ相手、素人の集団なら絶対に勝てない相手なんだ。


「ホイ、荷物を持って来たぞ坊主、受け取れ」

天秤棒に付いた大袋4個を目の前に置かれる。


「まだ持って行く物はあるか?」

「ええと何処に行くんですか?」

「一度俺達は領都に帰る、その時に生き残った女の子と君を領都まで送ろう」

この村から出て行けと言ってるんだ、何で?


「この村から出ないと駄目なんですか?」

「駄目では無いけど、このまま此処にいても何も無いぞ!建物は倒壊、人は女の子と君だけだ」

確かに2人しか居ないなら暮らす事は……。


「すいません我が儘を言って、屋根から荷物を持ってきてくれた時に、大きな薬草を作る釜はありませんでしたか?」

「あゝ、屋根のはりで真っ二つになっていたな、アレでは使えないだろう」

梁で真っ二つか、残ったのは大袋に入った小さな釜だけか!


「君は薬師か何かかな?」

目の前の人が聞いてくるので俺は答える。


「ハイおばあちゃんと共にこの村でポーションを作って販売していました」

「おおそうか、ヘギン村の薬師は君達だったのか! 君はポーションやマナポーションなどを作れるのか?」

確かに今まで作って来たけど、何か違う物が頭の隅に現れている。


「材料が有れば作れると思いますけど、薬草畑が如何なってますかね」

家の裏に作った薬草畑、何個かは抜いて大袋に入れたけどそれ以上有れば早くポーション類が作れる。


「なら確認してくれ、大丈夫そうなら兵士に持って行かせよう」

俺は荷物を持ってきてくれた兵士さんと共に、瓦礫の我が家の裏庭に行く。


そこには何かに払われた様に、地面が平らになっている。


「坊主、此処に現れた魔物は地龍と言ってな大型のトカゲだ! 尻尾を振りながら走るので、建物を破壊したり、少し位の突起なら平らにしてしまう。

今回はそんな魔物が3匹も出たんだよ、こうなるのは分かるよな」

おばあちゃん、ポーション釜、家そして薬草畑も無くなった、残ったのは大袋4個だけだ!









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