うたかたの色彩
或 るい
【ご挨拶】
はじめまして。この物語の筆を執らせていただきます、
数ある作品の中から、こうして出逢ってくださいましたこと、心より感謝申し上げます。
『うたかたの色彩』は、ずっと以前から私の心の片隅に、淡い輪郭だけを宿していた物語でした。
けれど、その輪郭に確かな色を与え、言葉を紡ぎ出すには、何かが足りないような気がして、なかなか形にすることができずにいました。
日々は流れ、私自身も、ささやかな出会いと、そして胸を締め付けるような別れを経験いたしました。
その一つ一つの出来事が、喜びも痛みも、私の内側に深く刻まれ、いつしか忘れていたこの物語の蕾に、静かに雫を落としてくれたように感じます。
今なら、あの時描けなかった彼女たちの息遣いを、不器用な心の揺らめきを、そして、うたかたのように儚くも鮮烈な日々の一瞬一瞬を、私自身の言葉で紡ぎ出せるかもしれない。
そう思い至り、こうして筆を執った次第です。
この物語が、読んでくださるあなたの心のどこかに、ほんの少しでも触れることができたなら、そして、彼女たちの生きる世界が、あなたの記憶の片隅に小さな灯りをともすことができたなら、これ以上の喜びはありません。
拙い筆ではございますが、一文字一文字に心を込めて、大切に紡いでまいります。
どうぞ最後まで、水無月澪と東雲晶、二人の少女の物語にお付き合いいただけましたら幸いです。
或 るい
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