第3話
自分の部屋から出た事がないから、どんな所に住んでいるのかは分からない。
唯一、分かるのは、ベランダに出ると、広い庭が見えると言う事。
そして、9月中旬になれば、広い庭全体に曼珠沙華が咲くと言う事。
世間では、彼岸花と呼ばれている曼珠沙華には、沢山の別名がある。
痺れる
狐乗の
全て、琥珀が教えてくれた事。
殆ど部屋の中で、1人で過ごす日々。
『琥珀からだ』と言って、永遠から受け取るのは、書籍と刺繡糸。
学校に行っていた記憶がないけど、ひらがななら読める。
それに、書籍の中の漢字には、ふりがなが書いてあるから読む事に困らない。
毎日、毎日、書籍を読む事と刺繍をして時を過ごす。
此処には、テレビもない。
ましてや、携帯も持たない私は、世間で何が起きているのかを知らない。
孤独だとは、思わない。
淋しいとかも、思わない。
そんな私は、過去に感情を置いてきたんだと思う。
それは、あくまでも、私の勝手な推測。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます