ガチャスキルでなんでもありの異世界無双譚

kimama

光に包まれて

 「…また今日もやっちゃったな。」

暗い部屋の中で、メールに届いたゲームの課金請求を眺める。


どうしてガチャってものはこんなにも面白いんだろうか、俺がちょろいのか?いいや、こんなに上手く作られてるシステムが悪いな。

それにしても何十万何百万と突っ込む人もいるんだから本当に凄いよな。

という俺もその1人。


高嶋 健吾たかしま けんご

25歳、毎月課金しまくる廃課金ユーザーの1人だ。



「ありがとう運営の人達」

手を合わせながら携帯を拝む。


「あ、そういえばおまけの石受け取ってなかったかも」

ゲーム画面を開いて受け取りのボタンを押す。


「ラッキー、あと10連回せる」


なんだか分からないけど

今なら当たる気がする、、。


お願いします、当たりますように!


ボタンを押すと、虹色に輝いていく


「確定演出きた!当たれ!当たれ!」


次の瞬間凄まじい衝撃と光に包まれて、

僕の意識は吹っ飛んだ。


________________


「なんだ、眩しかった、、ってどこだここ」

白い空間、白い部屋というより白そのものの中って感じだ。


「ごめんなさい!」

急に大きな声と共に綺麗な女性がスライディング土下座で現れた。


「うわっ、びっくりしたな」


「驚かせてしまってすいません。

実は、、」


「もしかして

間違って転生させちゃいました!とか

そういう感じのですか?」


「え、えぇ、はい。

というか冷静すぎないですか?

こちらとしてはありがたいですが。」


「なんか定番の

ザお決まりって感じだったので」


「本当にごめんなさい、、」


「いいですよもう、俺元々やりたいこともないし誰からも期待もされてないんで困ったりする人もいないと思うんで。」


「そんなことは、、」

沈黙が気まずくさせる。


「ということはやっぱり貴方は女神だったり?」


「そうです、紹介が遅れましたね。

私は女神サラです。」


「それで俺はどうなるんですか?」


「どこからお話しすれば良いのか、、」


女神様の説明だとこういうことらしい。

魔王軍とやらとの戦争中の帝国が勇者召喚を行った。この世界での勇者召喚は初めてなようで召喚の仲介である女神は間違えて2人呼び寄せてしまったとか、、。


それに気がつき途中で急いで俺だけこの空間に連れ戻したわけだが、時間が歪んでしまい、俺の体は消滅し、おまけに勇者が戦争を終わらせた100年後の世界に転生しなくてはならないとかなんとか。


「と、そういうことで俺はその世界でどうしたら?」


「好きなように生きてもらえたら。と言いたいのですが、それがその、、

今の世界はあまりいい世界ではないと言いますか」


「いい世界ではない?戦争が終わって平和になったんじゃないんですか?」


「魔王軍との戦争は終わりましたが、領地などを求めて人同士の争いも絶えず。

あと、勇者が召喚され勇者の持つスキルの一つ、オーバースキルでその世界の人々のスキルが底上げされまして、、」


「最初のはとにかく、後のは悪いだけではないんじゃ?」


「そうなのですが、力を持つ人間次第といいますか、、」


「事情は分かりました、でもなおさらそんな世界でどうしろと?」


「好きに生きて欲しいのです!

でも正直、どのスキルをあげられるかはランダムでして。」


「なるほど、いわゆるハズレスキルってものになるのかもしれないと」


「はい、、」


「でも、もうそれしかないんですよね」


「はい、、些細ですが、本来15歳で授かるスキルをすぐに付与しますので、、」


「スキルを早くに知っていられるのはありがたいですよ、それで十分です」


「ありがとうございます、それでは転生を始めます。

どうか貴方の行先が素晴らしいものになりますように。」


「ありがとうございます、女神サラ様」


消滅した今の俺にまぶたなんてないのかもしれないが、ゆっくりとまぶたが閉じるように暗くなる。


暗くなるなか、最後の10連ガチャの結果はどうなったのか聞いておけばよかったと思った。

てか、異世界とかスマホもゲームもないとかクソゲーかもな。ってそれどころじゃないのか。


どうか当たりスキルでありますように、、



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