不香の花[続編]

北畠 逢希

プロローグ

 言葉というものは、音を吹き込まれ、声になった瞬間から生命あるものだと僕は考える。

 それが現に留まっていられるのは、人の一瞬よりも短い時間だ。

 だというのに、目に見えるものよりも人の心を揺さぶる力を持っている。


 途方もない時間の果てのために、科学者が開発を進めていくのなら。

 僕は君のために、音を乗せた言の葉の重みを考えよう。


 人はなぜ、何かを愛さずにはいられないのか。

 僕はその答えを知っている。

 だが、言わない。

 他の誰でもない、君を想って。


【Still, the sky is blue and beautiful today.】

/『馬酔木が僕をなき者にする』

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