BUG-バグ-

武河原 黒露樹

第1話 噂の転校生

私の名前は桜遥、普通の高校生。

私は、両親の仕事の関係でこの錦町に引っ越してきた、そして今年からこの『錦雨高校』に入学することになった。

そう心を弾ませてる桜の前には普通の高校があり、それは他でもない錦雨高校であった。


「ここが今日から私の通う学校……!!」


目を輝かせる遥を見る一人の少女がいた。

その体には錦雨高校の制服を纏い、茶色の綺麗なロングヘアをしており、艶やかな髪とその綺麗な瞳には何か惹かれる魅力がある。

「あの子……この学校の子かな??でももうこの時間だと遅刻しちゃうし……」

それもそのはず、遥は転校生挨拶のために少し遅めに学校に着くように連絡が来ていた、時刻はもう8時45分、朝礼でそろそろ挨拶が始まる頃だ。

「うーん、、あっ!もう行かないと!」

気になるのは仕方ないが、時間はいやでも勝手に進んでいく。

遥はその茶髪の少女の事を後にし、走って校内を目ざした、その茶髪の女の子は、何故かこちらを見て小さく手を振り笑っていた。

何か言っているようにも見えたが、口が動いてることしか分からなかった。

「今日から錦雨高校に転校することになりました!桜遥です、よろしくお願いします!」

やった!成功した!

遥は何度も練習した最初の転校生挨拶を見事に練習通りに完璧に言うことが出来た。

「えー、桜さんは3組の生徒になる。これから仲良くするように〜」

生活指導であり1組担任の『山路秀明』がまるで気だるいかのようにハッとしない声で呼び掛けをした。

その流れを断ち切るかのように笑顔を見せハキハキとした声で呼びかけながら拍手をする3組の姿を見て、遥はホッとした。

3組の列の最後に入り込み教室へと行くと、早速自己紹介の時間になった。

「えー先程も山路先生からありましたが、今日から3組に入ることになった桜遥さんです。同じ仲間として協力して仲良く1年間過ごしましょう!ってことで!みんな自己紹介しよっか。」

そうすると3列目の前から4番目の一人の女の子が立ち上がり話し始めた

「では私から!私の名前は水田茜です、この3組の学級委員をしています!よろしくお願いします!」

ぱちぱちと拍手が起こり、遥も釣られて拍手をする。

その途端、この教室には暗い空気が立ち込め、水田さんの顔が引き攣り、先生に手招きされると教室の外へと歩いていった。

え?遥はもちろん困惑した、何が原因でこんな空気になっているのかが分からなかった、私がなにかしちゃった?と心配の気持ちにも駆られた。

「あ……桜さんは大丈夫だよ!ゆっくりリラックスして聞いててね!」

隣に座っている水色の髪色をした女の子が申し訳なさそうに様子を伺いながら話しかけてきていた。

そのこの優しさを裏切るわけには行かないので静かに肯定した。

「えーと、私の名前は生田寧々です!よろしくお願いします!」

隣に座っている女の子の名前は生田さんだと分かり、少し距離が近くなったと感じた。やはりさっきの必要以上に丁寧な扱いが気になっているのだろうか、小さなことでも距離が縮まったと感じるように思う。

「私の名前は美空時乃です、よろしくね!」

美空さんは焦げ茶色の綺麗なロングトーンに、星の形をした髪飾りを付けている、誰からも人気が高そうな綺麗な女の子だ。

気になったことがある、この学校は共学のはずなのに明らかに女子生徒が多い、いや、違う?

3組だけが異様なのだ、何せ女子生徒しかいない、ここまで極端にクラス分けがされることがあるのだろうか、体育祭や音楽祭で不利になったり有利になる場面が数多くあるはず、一体どんな考え方をしているのか、遥は気になった。


時は過ぎ今日の学校は終わり、生田さん、美空さんと3人で帰ることになった。

「美空さんは綺麗ですよね!やっぱり人気があるんじゃないんですか?」

美空は手を横に振り「そんなことないない」と言いかけたが、生田に遮られ

「そうだよ!!ときっちはめちゃくちゃ可愛いから学級全員から人気があるんだよ!」

生田さんが目を輝かせながら話しているのを見ているとこっちまで明るい気分になってくるな!遥は自然と笑顔になった。

一方美空さんは恥ずかしがって生田さんの肩をポコポコと叩いている。

「てか、寧々でいいよ!ときっちも時乃でいいよね??!!」

生田さんは常にテンションが高い。でもそれが助かる、とても私の心を解してくれてクラスにすぐ馴染めそうな気分にさせてくれる。

「私は時乃でいいよ!」

美空さんがニコットしながらこちらをみて話しかけるのは同性であろうと少しドキッとしてしまう、そのくらい魅力のある人なのだ。

「あ、ドキッとしたでしょ!遥〜」

私は時乃さんにドキッとしたことと唐突に下の名前で呼ばれたこと両方にドキッとして、思わず笑みがこぼれた。


アハハ!!


可愛らしい少女3人の笑い声が聞こえる、物陰には先程の茶髪の少女が顔を覗かせる。


「いつまで楽しいかな、錦雨高校が……」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

BUG-バグ- 武河原 黒露樹 @otakubros85

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ