散る花を題材にした連作短歌集。個人的に気に入ったのは、「花ひとつ こころの内をあけもせず いまさら悔いる我が身のをかし」ですね。きっと世の中には、人知れず咲いては散っていく花も、人の思いも無数にあるのだろうと、悲しみと同時にこの世界を慈しむ感情も湧いてくる心持ちがします。散っていく、儚く消えていくものへの言葉に、詠み手の深い感受性をを感じさせる句でした。
短いことばのなかに、ながい時間をゆく物語が見えるようでした。ことばのひとつひとつが、美しい景色を見せてくれるようです。ものがなしい雰囲気と、よりそうな暖かさを味わえるとっても素敵な作品でした!