トリッキーなキノコ🍄
さて。旅に出たはいいが、どこへ行けばいいのか分からない。早速の問題発生である。
しかしあまり細かいことを気にしないトリは、貰った黒糖をムシャムシャ食べながら、街道を歩いていた。
空は青く太陽は輝き、風は爽やか。黒糖は美味しい。なんと幸せなことか。
旅の目的などすっかり忘れて二個目の黒糖を取り出そうとしたトリは、偶然、
トリがあまりにもボーッとしているので、先を憂えた神官の誰かが同封してくれたのであろう。
『魔王城は北の果てにあります。討伐忘れないでくださいね』
「ふんふん。北か」
それにしても黒糖が美味しい。食べながら読んでいると紙がベトベトになるが、トリは気にする様子もなく読み終えて無造作に風呂敷の中に突っ込んだ。
すると、どこからか声が聞こえて来た。
「おい、そこの黄色い鳥」
「ん?」
辺りを見回すが誰もいない。
「下だ、下」
「した?」
言われて足元を見れば、そこには目にも鮮やかなエメラルドグリーンに水玉ショッキングピンクの毒々しいキノコが立っていた。
小さな小さな毒キノコは偉そうにふんぞり返った。
「その黒糖を寄越せ」
「え、やだ」
基本的に「NO」とは言わないトリだが、食べ物のこととなると別である。
トリの返事を聞いた毒キノコはブルブルと体を震わせ、ピンク色の胞子を撒き散らし始めた。
「寄越さないなら眠らせるまでだ」
「お布団がほしい。すやあ」
トリ、一瞬で眠りにつく前に一言だけ言い添える。
快適な眠りは寝具からなのだ。
【イラスト】
https://kakuyomu.jp/users/toriokan/news/16818622175663872683
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