第3話 桃太郎伝説
今日は日曜日……日本の労働者の多くが休みの日だ……
そんな労働者の一人である父が箱を持ってこちらにやってくる……
「宗助ぇ、絵本読むぞぉ」
やったぜ
見たところ新しいやつだな……
新入りよ、君の有意義なお話を聞かせ給え……
「これはパパのパパのお家から見つけた絵本だよぉ」
ほう……辻家秘伝の絵本と来たか……期待しているよ?
「むかーしむかし、あるところに……」
テンプレートから始まったか……
こういう系はだいたい、面白いか面白くないか、ちょっと面白いかちょっと面白くないか、どっちでもいいか、わからないか、部分的にそうかそうでもないのどれかだ
「おじいさんとおばあさんがいました……」
桃太郎か……定番中の定番だが、それもまた……良い……
「おじいさんは山へ、
ダニィ…っ!?
オリジナル版だとっ!?
昔日本で依頼者から桃太郎を朗読してもらったが、冒頭から違う!!
しば刈りと洗濯だろっ!
急にファンタジーがこんにちはだよっ!!
「おばあさんが川で呪い落としをしていると大きな鬼が流れてきました……」
早いって、お前出るの早いって、おばあさん逃げて!!
「するとおばあさんはこう言いました……」
びっくり仰天だろうな……
いきなり鬼が出てきたら……
多分おじいさんなら倒せるはず……早く帰ってきて!!
「『なんと大きな鬼じゃ! 久々に腕が鳴るわい、殺してしまおう』……と……」
と……じゃねぇよ!!
こえぇよ、俺の知らん桃太郎だって……
「殺してしまおう」なんて信長しか言わんてぇ……
「おばあさんは肩を鳴らして、その鬼を切ろうとすると、なんと鬼から大きな鬼が出てきたのです……」
すごいな、ばあさん……
それにしてもなんで鬼から鬼が出てくるんだよ、マトリョーシカじゃねぇんだから
「『ほう、面白い』」
強キャラ感満載だな……
「『……誇れ、貴様は強い……』」
おばあちゃんつよい(小並感)
両面〇儺ですか?
「そこから、妖魔狩りから帰って来たおじいさんは鬼を見てこう言いました……」
先が見えるな……
「『おい、ばあさんや、腕が鈍ったのう……』と……」
やべぇ……面白くなってきたじゃんっ……!
「そしておじいさんは持っていた鎌を振り回しました……鬼は何度も斬られましたが、その度に大きな鬼へと進化していきました……」
登場人物全員化け物
「気づいたら鬼の大きさは家屋の10個分になりました」
でけぇよ
「あまりの大きさにおじいさんは……『ばあさんやこりゃ仕留めきれんわい、封印するぞい……』と言い、聖水で育った桃を使って二人で協力して封印することにしました」
ここでやっと桃の登場
「無事、桃に封印することができましたが、一つ問題が生じました……」
まさか、おじいさんは永遠に生き続ける呪いを掛けられて、おばあちゃんは永遠に転生し続ける呪いが掛けられたりとかっ!?
「なんと……その桃は人の形になったのです」
まさか、これって……
「その桃は人に対して友好的でした……おじいさんとおばあさんに桃太郎と名付けられて、大事に育てられました……」
ここで桃太郎の登場!!
「元気に育った桃太郎……ですが一つ悩みがあるのです……」
どしたん、話聞こか?
「桃太郎の中にある鬼が原因で村中からいじめられているのです」
いやNARUT〇かよ
かわいそうだな
「しかし桃太郎は耐えました……自分の心が乱れるとこの封印されし鬼が解放される……人々の平穏な日常を守りたいからです……」
かっけぇやん
ジ〇ンプの主人公かよ
「そこで見かねたおじいさんとおばあさんはいいました……」
言ってやれ!
このクソ村人達に!
「『強くなれ……儂たちが貴様を鍛える……いつしかその胸の中にある鬼を滅殺するために……』」
体育会系師匠じゃん
「桃太郎は……『うんっ!! 絶対にこの鬼を現世に現れたことを後悔させるよ!!』と……笑顔で言いました……」
親が親なら子も子だな……
「そこから桃太郎は修行をしました……」
頑張れ!
「身体はぐんぐん育ち、魔力も膨大になりました……そんなある日、おじいさんは言いました……」
魔力って……あの魔力だよな?
「『免許皆伝……と言いたいところじゃが……最後に儂と戦え……』と……」
子供に言い聞かせる本ではないだろ
「その後3日間における死闘を繰り広げた結果、桃太郎は勝利しました……」
おっと、刃〇を感じるな
親子喧嘩
「戦いを終えた後はお祝いです……しかし食事している最中におじいさんはちゃぶ台をひっくり返して、指で4つに割ったのです……」
〇牙だね
「おじいさんはこう言いました『我が倅よ、先の戦いは手を抜いていたな?』と……桃太郎は申し訳なさそうに言いました……『私は親を怪我させたくなかったのです……』と……」
まじかよ手を抜いていたのかよ……
「おじいさんは激怒して言いました『馬鹿者ォォォ!!! 儂は貴様の親である前に師である!!……それに、子は親に対して迷惑をかけて当たり前なのだ……親の覚悟をあまり舐めるな』と……」
ええ……
「桃太郎はこの時、覚悟を決めてこう言いました……『私は……この胸にある鬼を滅ぼしますっ!!!』」
そろそろクライマックスだ……
「次の日、禊を終えた桃太郎は、おばあさんによって鬼の封印を解きました……」
因縁の対決だ!!!
「戦いの決着はすぐにつきました……桃太郎の圧勝です……桃太郎の本気の拳に鬼は新たに生まれ変わる隙も無く、消滅しました……」
つっよ……
「無事、鬼を滅ぼした桃太郎とおじいさんおばあさんは、3人仲良く暮らしましたとさ……」
ちょっとだけストーリー性あるのやめろ……
……てか犬猿雉はどこいった?
「ふぅ……本当の事とはいえ、すごい話だよねぇ……」
良い話だったな……実際に存在する話なのがより、リアリティを深める……
やっぱり事実は小説よりも奇なりってのは本当なんだな………
…ゑ?
パッパ本当?
今の実は実話だったの!?(実話だけに)
思わずノリツッコミモドキをしてしまった……
嘘でしょ!?
でもパッパが嘘をつくような人間じゃない……
テレビで時たまに陰陽師みたいな人が出てるけどあれ本当だったの!?
なんかそんな感じの人が火を出したりとか水を出したりとかをLIVEで中継していたけど……
後はよく考えたら、生後1か月の日に神社に連れてかれて、なんか祈ってたような……
前世と同じ世界と勝手に思っていたのだが……
……それはそれで面白そうだな……
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