医療魔術こそが至高なり

下手の横好き

第1章 幼少期編

第1話 転生するっ!?

日常とは何を指すのだろうか……


平和で安心安全な毎日?

物価高の中での日々の節約?

思い煩う繊細な人間関係?


俺にとっては違う……


危険で危急存亡な毎日

厳しい条件下での銃弾の節約

よく見定めなければならない、適切な依頼者との関係


なんでこんな危険極まりない仕事をしているのか……


物心がついたころには両親はいなかった……

運が良いのか悪いのか、俺は犯罪組織の下っ端の下っ端に飼われた……


そこで人を殺す技術を学んだ……

初めて人を殺したのは五歳の時だった……

殴殺、射殺、撃殺、抹殺、圧殺、 絞殺、斬殺、暗殺、刺殺、毒殺、薬殺、爆殺、撲殺、密殺、焼殺……

数えきれないほどの方法を利用できるだけ利用した……


十五の温かい春の日に気づいたら俺の飼い主が殺されていた……


それから町を転々とした……

依頼されては人を殺すという、前とは変わらない日常を送っていた……


そして今日、その日常が壊れるようだ……


依頼されて向かった建物に入った途端、奇襲を受けて無力化されてしまったのだ……


「やっと……やっとだ……」


ここのリーダーと思わしき男が感慨深げに呟く……


「お前がヴラジーミルの兄貴を殺したってわかってから……お前が憎くてたまんなかったんだよなぁ!!」


ヴラジーミル……ヴラジーミル……かぁ……うーん


あ! 俺に人殺しをさせた人だっけ?


懐かしいなぁ……


俺が殺したんだっけ?

もう二十年も昔で忘れてたよ


この人記憶力いいなぁ……


「お前は昔から無口だったよなぁ、エイドリック……今はドゥだったな……兄貴から貰った名前を捨てやがって……っ! この名無し野郎……」


エイドリックかぁ……一回だけそんな名前の奴殺したことあるなぁ……

てかこいつイリヤじゃね?


ホントに懐かしいな……


あの日のことを思い出すよ

掃き溜めを十倍にしたのを結晶にして飲み込んだような最悪な思い出を……


「ボス、こちらを……」


そう言って大柄な男はイリヤに拳銃を差し出した……


「いや、それはいらねぇ、つまらなすぎる……」


確かにそんなものじゃ趣が無さすぎるよな……

わかる


「なぁ名無し……お前、何で兄貴を殺したか覚えてるか?」


イリヤは俺の見ている目の前でワイシャツのボタンをはずしはじめた……


こいつ……盛ったか?


「俺らの行きつけの酒場……そこのコンソメスープはうまかったよなぁ……バカスカ酒を飲んだ後の締めとしてな……」


確かに俺もそこのコンソメスープだけは食べた覚えがある……

そこまで美味しくなかったが……


「あの日は金持ちからの依頼でお金ががっぽり稼げたからな……それに寒い冬から開けて少し気分がよかったんだろうな……」


イリヤはワイシャツの裏から木製のスプーンを取り出す


ははっ、相変わらずイリヤはロマンチストだなぁ……


「酔ったところをお前は兄貴の目にこのスプーンを……」


イリヤの手に力が入る


「だからお前は兄貴と同じように……いや、それ以上にゆっくり甚振ってやる……」


あれは少し痛そうだなぁ


「なんで殺ったかは聞かない……ゆっくり、目玉を刳り貫いて、脳味噌を掻き混ぜる…掻き混ぜて掻き混ぜて掻き混ぜて掻き混ぜて掻き混ぜて掻き混ぜて掻き混ぜて掻き混ぜて掻き混ぜて掻き混ぜて掻き混ぜてエェェェェェエエエエエ!!!!!!!」


「ぼ、ボス!?」


かわいそう


「あ~、兄貴ィィやりますぜ……仇をぉぉ……」


イリヤのポケットから錠剤シートが落ちる……


「インまでぇぇ……ピャーチィ5……チェティーリィ4……トリィィ3……」


俺も死ぬのかぁ……そうだ!

ヴラジーミルと天国で酒でも飲んでみたら面白そう……!


ドヴァァ2……アァァ!!イィィィンンンンンッ!!!!」


いや、アヂン1まで言わんのかい!!


視界の右側が影がかかる……


これはちょっと痛いなぁ……

痛いというよりは怖いのかなぁ……


「できたっ! できたっ! コンソメスープ!! 兄貴に捧げるこのコンソメスープ!!!」


そしてそのまま蝶形骨を貫く……


「そしてっ! そしてっ! コクができるように掻き混ぜるっ!! いい加減だねぇぇ!」


スプーンはそのまま大脳皮質ををををををををををを

とっぱぱっぱぱぱぱぱぱppっぱあああああああっぱぱp


「ヴエ……」


てしたったたたあたたたたttt

はkっくkっく


「ボス……」


おおきいいいこがぁあぁあああかなssしいそうううううぅっぅっぅぅぅ


「イタダキマァァスゥゥゥゥ」


すすすっすわれrrrrrrrrrれむいよぉぉぉ


   


   ・・・




………


…………


……………


………………


…………………


……………………


………………………ゑ


あれ?俺ってコンソメスープになっていた気が……


そのあとイリヤに吸われて……


ここは天国なのか?


まぁ俺ほどの善人は天国に決まってるよな


天国……にしては暗くねぇか?


身体の感覚もない……


魂の状態ってことなのか?


皆目見当もつかないなぁ……


……もしかして一生このままだったりして……


ラッキー!


働かなくていいじゃん!!


ワンチャン天国でも働かないといけないかもだし…


でも娯楽が無いしなぁ……


何もない所でずっとって、精神どうなるんやろ?


ずっと疑問に思ってたんだよなぁ……


楽しみだなぁ……


  

 

   ・・・




「よく食べて大きくなりましょうねぇ~」


母乳うまし


ちゅぱちゅぱ



……


………


…………ゑ?


一度目を瞑る


目を開く


……


………


…………ゑ


もう一度……


……


………


…………ゑ?


さらにもう一度……


……


………


…………ゑ?


さらにさらに……(以下十回ほど続く)



……俺赤ちゃんだ


転生しました


hello world

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