藍色不時着水

加賀倉 創作【FÅ¢(¡<i)TΛ§】

むかしむかし……

 ——二大超大国の対立。


 その対立というのは、人と人との殺し合い、


 ではなく、宇宙開発競争、という形で、表面化した。


 両国は、有宇宙飛行の前段階として、

 人とは別な生物を、宇宙へやった。


 一方は猿で

 他方は犬


 先に猿がいった。


 失敗した。


 深い藍の宇宙そらから、

 ほどよい藍のそらを経て、

 淡い藍の海へ、

 真っ逆さま。


 救助はされなかった。


 次に、犬。


 こちらも失敗。


 海に落ちて……


 なんと……


 猿に出会った!


 猿は無人島で、

 小さな無人島で、

 生き延びていたのだった!


 犬猿の仲、なんて言葉があるが……


 猿と犬は、


 そうはしない。


 手を取り合った。


 何せ、猿と犬は互いに、宇宙を目指した。


 人の命令で無理矢理に、ではあるが、


 共通の境遇をもつ。


 二匹は力を合わせ、


 無人島生活を始めた。


 が、問題はある。


 無人島は、本当に小さい。


 無人島の大きさは、


 一匹ならまだしも、

 二匹を養えるほどでは、


 ない。


 しかし!

 

 そこに……


 絶海の上空に、たまたま……


 きじだ! 


 雉が通りかかった!


 雉は、心優しかった。


 そして、たいそう大柄だった。


 無人島を、覆い尽くすほどに。


 雉は、


 二匹をあまりに不憫ふびんがって、


 大翼の背に、乗せた。


 雉は、


 藍に囲まれた世界を、


 飛んだ。


 そしてついに、


 雉は、猿と、犬を、


 二大超大国へ、送り届けた。

 

 すると、世界は、変わった。

 

 猿と犬は、


 犬猿の仲だった、

 

 二大超大国の、


 仲直りのきっかけとなった。


 世界中は、


 猿と

 犬と

 雉のドラマに、


 涙した。


 藍色の不時着水は、


 世界を、愛色に、染めた。


 おしまい。

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藍色不時着水 加賀倉 創作【FÅ¢(¡<i)TΛ§】 @sousakukagakura

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