Lv.5話 ギルドへ

レベリングに夢中で気づかなかったが、どうやらここは薄暗い洞窟の最奥らしい。どこからともなく、水の滴る音が響いている。


「とりあえず、この洞窟から出ないと…」


璃華は服が破けぬよう魔力を纏いつつ洞窟の入口へと進んでいく。しかしLv.1無量大数を適用した俊敏の加速力は凄まじく一瞬で光の指す方向へ向かった。道中、魔物らしき物と遭遇(というか体当たり)した気がするが、このLv差では塵となるもの必然だろう。


洞窟を抜けると、璃華の目に飛び込んできたのは、見渡す限りの森だった。澄んだ空気、鳥のさえずり、そして遠くに見える大きな都市のようなもの。


「よし、まずはそこを目指すわ!」


璃華は迷うことなく、璃華は都市を目指して加速した。コンマ数秒後、璃華は都市にたどり着いた。都市の中へ足を踏み入れるとコンクリートの道、ビル郡、活気ある人々の声・・・・


異世界というにはあまりにも現代。だた剣や杖などの装備を持つ人々や物理的にありえない建築などところどころ違和感がある。本当に異世界に来てしまったのだと、璃華は改めて実感した。


まず璃華が向かったのは、都市の中心にある現実ではまずありえないであろう、ひときわ大きな塔の建物だった。入り口には「中央冒険者ギルド」とゴリゴリの日本語で書かれている。まるで並行世界の日本のようである。この異世界でもいわゆる冒険者ギルドがあるらしい。璃華は、この異世界について情報収集をするため、ギルドの自動改札をくぐった。


ギルドの中は、巨大な空間が広がり電子パネルの前で沢山の人々で賑わっている。これならガラの悪そうな冒険者たちが絡んでくる定番のイベントもなさそうだろう。無論なくていいが。


璃華は臆することなく、受付へと向かった。


「あの、すみません。登録したいんですけど」


璃華の声に、受付嬢が顔を上げた。受付嬢は璃華の姿を見て、少し驚いた表情を見せた。無理もない。璃華は、どこからどう見ても、普通の娘としか見えないのだから。


「ご登録ですか?冒険者になりたいと?」


「ええ。この世界のこと、何も分からなくて…」


璃華が正直に告げると、女性は困ったように眉を下げた。


「そうですか…。では一応、冒険者登録でギルドカードの発行手続きをしますね。名前と、それから…Lv測定を行います。」


「・・・・・・」


これは非常に困った。


当然ながら私の現在のLvはおよそ「1無量大数」である。正直に測定するべきか、あるいは手加減するべきか。どうするにしてもまずはこの世界の相場を確認するしかないわね。


「ちょっと聞くけど、初心者のLvはいくらくらいなのかしら?あと、この世界の最高Lvも教えてくれると嬉しわ。」


璃華の言葉に、受付嬢は答えた。

「等ギルドでは初心者はLv0〜Lv100までと区分されております。また最高Lvというのは詳しく知りませんが数千万レベルの方の記録があります。まぁ、そんな人実在するかどうかも怪しいですけどね。」


終わった。

このLvを正直に測定すればよくて取り調べ。最悪実験場送りや兵器、あるいは世界一クリーンなエネルギーとして永久に有効活用されるだろう。戦えば勝てるだろうが私は人類と戦争がしたいわけではないのだ。


これだけポンポンLvの上がる世界なら某インフレゲーよろしく指数が飛び交ってもおかしくないと思ったが、どうやらその希望は打ち砕かれたらしい。手加減するにしても例えば今の私がLv.1000万クラスの力を出すには力を


1/10,0000,0000,0000,0000,0000,0000,0000,0000,0000,0000,0000,0000,0000,0000,0000


に抑えなければならない。どれほどの制御技術があろうと不可能である。たとえ抑えた上で伝説級の扱いであるが。


「Lvって本当に測定しなければならないの?」


「…申し訳ありませんが、Lv未測定では登録できません。測定さえできればよいので…」


どうやら序盤の難所が強敵との戦闘でもなく、ただの測定らしい。


こうして、璃華の異世界での冒険が、思わぬ形でスタートを切ったのだった。

果たして璃華は無事にLv測定を終えることができるのか?




【西条璃華(さいじょうりっか)様】

現在約・・・ 1無量大数



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

異世界レベリングお嬢様 @kotaiga

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ