〇 夜・稽古場（小さな多目的スタジオ）

鏡張りの稽古場。

ストリート系のライト音楽が流れる中、

もえ、ゆい子、あこがストレッチ中。

もえ

（明るく）ねぇ、久しぶりの定例練習！

ちょっとサボりすぎじゃない、私たち！

ゆい子

いや、それ言うならもえさん、

空港で夜勤続きで来てなかったじゃん！

あこ

まぁまぁ。今日は新メンバーも来るんでしょ？

…って、誰が連れてきたんだっけ？

ゆい子

力丸くんだよ。いつの間にか見つけてくるんだよね、あの人。

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〇 同じ頃・スタジオの入り口付近

力丸と翔太が入ってくる。

翔太はフードをかぶって少し無愛想な印象。

力丸

じゃーん、新入り連れてきました～！

翔太

（軽く会釈）ども。翔太です。

なんか、突然すいません。

力丸

（軽く手を上げ）よう、もえ。ひさしぶり。

元気してた？

もえ

うん。元気よ？

あんたは相変わらず軽いね〜

翔太

（小声で力丸に）え、元カノとかですか？

力丸

（苦笑）ま、そんな感じ。

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〇 稽古場・数分後

メンバーが輪になって自己紹介。

圭吾が遅れて入ってくる。

圭吾

（入ってくる）おーい、もう始まってんじゃん。

あこ

リーダー遅刻ですかー？

圭吾

違う違う、ロケの手伝いで渋滞に巻き込まれて…で、新人くんは？

翔太

（少し緊張）翔太です。元は自転車やってました。

今はフリーター。歌は…まあ、趣味って感じです。

圭吾

（翔太をじっと見る）…いい声してそうな顔だな。

翔太

…それ、よくわかんないっすけど（笑）

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〇 軽いミュージカルパート（導入的なもの）

力丸がキーボードの前に座って弾き始める。全員が少しずつ加わる即興セッション。

力丸（歌いながら）

🎵 「また出会って、また始まる

昨日と違う今を歌う」

もえ

🎵 「声を重ねて、どこまで行ける？

届くかな、この夢も──」

翔太

🎵 「名前も知らない誰かが

今、隣で声を出してる…」

みんなで笑いながら終わる。

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〇 曲が終わって、空気がほぐれたあと…

圭吾

よし、発表しようと思ってたことがある。

俺たちのサークル、今年は“ちゃんとした公演”をやる。舞台を借りて、有料で。

ゆい子

え、それ本気？

圭吾

本気。脚本も書いてる。で…主演は力丸と、もえ。

もえと力丸、顔を見合わせる。微妙な空気。

もえ

……今さら何よ、それ。