実用性を選ぶ「男傘」の感覚や、傘で遊んで叱られた幼少期の記憶が自然体の言葉で綴られていて、懐かしい情景が浮かぶ作品でした。
見た景色をそのまま十七音に落とし込む難しさは、まるで記憶の輪郭を指先でなぞるようだ。書けば書くほど言葉は逃げ、読む側・読まぬ側の駆け引きもまた俳句の妙味となる。「刻む景 声に出したく 秋の句よ」と口ずさめば、景色と言葉が静かに寄り添い、句は自分だけの風景をそっと開く。なして、こうも人って、難しいだが。