第13話 泊る人増えた

御陵さんが泉の部屋に入れられたのを確認し、防犯ブザーを切ったうえで部屋に入る。そして扉を閉めて、

「よっしゃやっと一人の時間キター、いやーマジで女子と会話とか何話していいかわかんないからチョー大変だったわ。」

などと独り言を言っていると、

「あんたやっぱヒドイ男ね」

いつ入ってきた?

結衣にそのようなことを言われたのだが、

「事実は偽れないのだよ、ハハハハハ…」

目が据わってるぞー結衣ー、まあ何と思われようがそん時はそん時なんだわ。

「てゆーかはよ帰れや、美乃梨さん心配すんぞ多分」

酔っぱらってるからもう寝てる気もするが。

「大丈夫でしょ、どうせ寝てるし」

おっと意見が被るとは。

そんなことを思っていたのだが、ピンポーン

こんな時間にインターホン鳴るとは何事?玄関を開けると、

「結衣連れ帰りに来たよ~」

美乃梨さん迎えに来たんだが?そんなこと絶対しないタマだと思ってたのに、まじかよ。

「よし、結衣ー帰れー」

すると帰ってきた返事は、

「え、やだ、めんどくさ」

は?いや帰れよ。さすがに今日は客人が一人おるねんそれ以上人を増やすのはだるいんだよ理解わかれや。

「そっか~、結衣ちゃん樹のこと大好きだもんね~」

ええ、なんか複雑…。

「私も大好きだから今日はお泊りしちゃおっかな~」

おいコラ待ててめえまで泊まろうとすんじゃねえ、三人も飼えねえよ。こんなこと口が裂けてお言えないので心の中で叫んでいると、

「いい?」

美乃梨さんが承諾を求めてくる。微妙に威圧してくるのは何だ?

すると、結衣が叫ぶ、

「泉ー瑞ー。私と美乃梨さん泊まっていい?」

しばらくして、

「私と瑞はまあいんじゃね?って感じー」

結衣は目を一瞬光らせた後勝ち誇った笑みを浮かべ、

「多数決で過半数を超えたからいいよね?」

「いや過半数はひどくね?」

とりあえず反論、というかできれば阻止したい。何なら最初は美乃梨さんの家で御陵さん止めるって言ってたのに何で我が家で3人泊まることになってんだよおかしいだろ。

「3分の2とれてるからいいよね?」

ぐ、そうだな。

「だが両親の許可は取れていないが。」

これは正当な理由だと思うぞうん。

「でもさ、ここにいる人の3分の2とってるからいいよね?」

国会ルール使うのだるいな。

「は、はあ」

溜息しか出ませんねホントに。まあいいか。

「はーい、あんたのお母さんの許可とれましたー」

「甘いな、まだ父親が…」

「仮にお父さんがダメと言っても4分の3超えてるから通るよ。」

瑞が決定打を与えて決ってしまった。

そうかー、まあしょうがないな。

「じゃあ新規で結衣と美乃梨さんの寝床を用意せなあかんのだがどうする。」

「樹の部屋にしゅるー。」

酔っ払いが何かほざいてるな。戯言は無視しようとすると、

「じゃあ樹の部屋に私入れて3人で決まりー」

「あーこら不公平だおら撤回しやがれ」

結衣の発言に瑞が暴言とともに食い下がる。両者にらみ合うのかと思いきや、

「ん?じゃあ瑞も一緒に寝る?」

「寝るー」

秒で食いつきやがった、なんで俺なんかと寝たいんだ意味わからん。

ただそーゆーことをしたいってことはそーゆー感情だったり…

一瞬変なことも邪推したがどうせ勘違いに終わるのは定石なので考えるのはやめておく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る