第9話 眠いから寝ているのに絞めてくるのはひどくないか
次の日、学校の教室で上野樹は眠すぎて机に伏してのびていた。
目の下のクマは絶対やばいし負のオーラを醸し出している以上、人が寄り付く気配もない、はずなのだが、、、
「お、上野~目が死んでんぞww、どーしたん」
早速クラスメイトの一人、西丘沙希人に絡まれてるのだが、どうしたものか。
「朝まで作業してた...」
これ以上口を動かす気にもなれない、とにかく眠い。
「あーね。まあ適度に頑張るんだな。」
そういえば今日小テストあったなー。
勉強してないけど、まあいいか。
「おうおう、誰か呼んでるな。西丘対応よろ。」
「勝手に窓口にすんなし」
そりゃね。そして足音とともに西丘が彼の机に向かう。
入れ替わるようになにやら二つの足音と声が接近。
「現代文のスライド作るのめんどくない?手抜きしたくてもクオリティ落とすとどんな評価つくかわかんないし。」
「それな~、あの山本とかいう教師無駄にこだわり強いし。たいへんだよねー。」
声の主は泉と瑞、そして死にかけている自分を尻目に雑談に花を咲かせている。
ホントは聞き耳を立ててみたいところだが、睡魔に負けてしまうのだった。
次の瞬間、背中に激痛が走り飛び起きる。肘鉄砲を食らったらしい。
「これ、美乃梨さんから。泉ちゃんと瑞ちゃんの分も。」
昨日夜遅くまで作業をしていたら美乃梨さんが遅くまで労働してからご飯を作るのはかわいそうだからと御番家の作り置きを分けてくれた。
泉と瑞も配給だーなどと喜んでいる。
泉と瑞が一人前ずつ持っていこうとしたところ、
「あ、その容器が違うやつ樹の分らしいから。」
すると、取り替えて結衣にありがとうと言うなりたちまち消えていった。すると、すぐに予冷が鳴る。もうこんな時間か、睡眠学習は不可避だな。
そこから昼休みまで、ほとんどぶっ通しで寝ていたので記憶がない。何度か結衣に絞められて起きたこともあるがそんなことはどうでもよかった。
昼休みに、西丘に「御番のサンドバックにされてたけど大丈夫か」と聞かれたが体が無事なので良しとしよう。
一刻も早く腹を満たすことが昼休みの目的である。そんなわけで美乃梨さんが作った弁当おふたを開けた瞬間、時が止まった。
弁当に何か書いてある。
「大好きだよ♡」
「ぎゃー助けて助けて無実だからやめてくれああああ」
後ろから結衣がまた絞めてきた。
「美乃梨さんがウキウキしながら弁当作ってると思ったらそういうことだったのね。
私の分はいつもの作り置きだったのに」
おお、怒りが深い。そこにさらなる爆弾が投下される。
「わー、このお弁当すごーい。だれが作ってくれたの上野くーん?」
今は話しかけてきたのは通常であれば遭遇率が限りなくゼロに近いと考えられる空気読めないじゃなくてゆるふわ系女子の、ゆるふわ系女子の、名前が出てこない、誰だっけ。
こーゆーときは、ぐぁしッ。
結衣がびくっとなって固まる。
「な、何デスカ?」
「この人の名前誰だっけ?」
べシーン。
地面にたたきつけられました。
「天下の
尻をげしげしされるのは楽じゃないねえ。
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