新調
王都につくと、正門の前にニカリとニコリの姿が見えた。
「あ!四人も終わらせてきたんだね!」
ニカリがルロナ達に気づき、手をふってくる。
「お二人も、お疲れ様です」
ルロナが労いの言葉をかけると、ニカリは頷いて、腕を組みながら話し始めた。
「本当、大変だったんだよ!いや、大したことないのがほとんどだったけど、ボスが厄介でさー、レーザーを沢山飛ばしてきたり、結構強かったんだよね!」
ニカリの熱弁は、ニコリの「兄さん」という一言で終わった。
「早く休もう。兄さん、ちょっと食らってたじゃん」
見ると、ニカリの右脚に包帯が厚く巻かれている。
「あ!そうだね!行こうか」
ニカリは右脚を軽く引きずりながら歩いていった。ニコリはルロナ達に頭を下げ、その後について行った。
ルロナ達は、王宮まで行ったあとに別れた。
「要塞の破壊とモランについては、私とケイスで報告しておくよ」
そう言って、ラズとケイスは王宮の中に入っていった。残されたルロナとファレナは近場の宿をとり、王都の市場に出向いた。
敵要塞での戦いを経験し、さらに性能のいい武器の必要性を認識したためだ。
ひとまず、一番最初に目に入った魔道具の店へ足を踏み入れた。
店内はあまり広くなく、様々な道具が棚にところ狭しと置かれている。どれを見ても、ルロナには何が何だか分からないが、隣を歩くファレナは目を輝かせている。
ファレナは小瓶のようなものを手にとっている。
「それは何ですか?」
ルロナがそう問いかけると、ファレナは笑顔で振り返り説明した。
「これは特殊な瓶でね。魔法を封じ込めて置いて、いざという時に解放することで、詠唱とかをすっ飛ばして魔法を発動できるのよ。とりあえず、五個ぐらい買っていこうかしら」
心なしかいつもよりも上機嫌で饒舌なファレナに圧倒され、ルロナは笑顔で相槌を打つことしか出来なかった。
早歩きで店内を散策するファレナに、ルロナはゆったりついていく。すると、ルロナのもとにファレナが先端に石の塊がついた縄のようなものを手にとって駆け寄ってきた。
「これ、あんたの戦闘スタイルに合ってると思うんだけど…」
「これは?」
ファレナ曰く、先端の石を物体に吸着させ、壁などを移動するのに使う道具とのこと。石は流す魔力の量によって吸着力が変わるらしい。
「なるほど、いいですね」
きっと、魔力を流さずただ振り回すだけでもそこそこ強力な武器になるだろう。ルロナはそれを買うことにした。
その後も二人は市場を周った。ルロナはより投げることに特化したナイフと、熱を帯びた剣を、ファレナは近接戦闘になった時に距離をとって形勢を立て直す時間をかせぐため、目眩ましに使う手のひらサイズの閃光弾をいくつか買った。
そんなこんなで二人は宿へ戻り、道具の整理をした。
「さて。戦いの疲れを癒すために、休むとしましょうか」
ルロナがそう言うと、ファレナはすぐにベッドへ飛び込み、「私こっち!」と言って毛布を被った。
「はいはい。おやすみなさい」
すぐにファレナは寝た。だが、ルロナはまだ少しやることがあったので、しばらくの間起きて作業していた。
夜は更けていく。けれど、その静けさのもとで、新たな魔の手が近づいてきていた。
無差別殺人鬼の異世界送り 白黒天九 @tenku859
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。無差別殺人鬼の異世界送りの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます