第3話:召喚士
「この召喚士っていうのはどういう職業なんだ?」
「召喚士自身は戦闘力はほとんどありませんが、召喚した召喚獣に代わりに戦ってもらう職業です。」
「召喚獣に代わりに戦ってもらう?道中で捕まえたりするのか?」
「召喚獣は特殊なので道中では存在しません。まずは一番最初に10回召喚して召喚獣を引き当てます。その後はレベル10ごとに10回召喚チャンスがあります。」
「ほう・・・なるほどゲームでいうガチャのようなものか?」
「そう言う事です。ただ、どの召喚獣が手に入るのかはランダムなので、召喚で失敗すると厳しい職業ですね。」
(なるほど、完全にガチャ運で全てが決まってしまう職業か。自分で戦わないから楽そうだと思ったが、弱い召喚獣しか手に入らなかったらいきなり摘みそうだな。)
しかし、説明書きのウィンドウをさらに読み込んでいくと面白い事がわかってきた。
どうも召喚でレアな召喚獣を手に入れる確率は本人の運の数値が大きくかかわってくるようだ。
「本人の運の数値って可視化できるのか?」
「ええ、もちろんです。ためしに能力の割り振りをしてみましょう。基礎値に10ポイントを好きに振ってもらいます。」
するとウィンドウがステータス割り振り画面となった。
【下記の基礎値に10ポイントプラスしてください。】
力:8 知恵:8 精神力:8 体力:8 器用さ:8 素早さ:8 運の良さ:8
(なるほど基礎値は全て8。ここに数値をプラスして個性を出していく感じか。それなら運に全振りすればいきなりSSRの召喚獣を手に入る可能性が上がるという事か?)
「ちなみに能力値の限界ってどれくらいだ?」
「能力値の限界は人によって違います。体格が小さい人間がいくら鍛えても、体格が大きい人間に力では勝てないでしょう。逆に素早さでは小さい方が上回ります。ただ、運だけは誰でも限界値は30ですね。」
「なるほど・・・ちなみに能力値はレベルアップによって上昇するのか?」
「レベルアップで上昇するのは職業レベルですから、能力値の変動はありません。戦士なら戦う技術が上がるので、命中率や回避率が上がったり特殊な技を覚えたりとかでしょうか。能力値を上げたいなら地道に体を鍛えたり、想像力を磨いたりするといいかも知れません。」
「運の数値を上げる場合はどうするんだ?」
「運の数値を上げるには人助けをする事です。」
「人助けして運が上がる?そんな話は聞いた事がない。」
「創造主が作ったルールの一つです。人助けをしていくといい事が起きやすくなる。逆に非道を行うと悪い事が起きやすくなる。それである程度の秩序を保とうという考えのようですね。」
(となると、強力な召喚獣を得たいならレベルを単純に上げるより、先に人助けして運の数値を上げてから召喚チャンスを待った方がいいのか・・・しかし最初の召喚ではそれが出来ないが、運に全振りしたら数値は18になる。限界が30だとするとそんなに悪い数値じゃない・・・ただ、どれだけ効果あるのかは明確には記載されていなかったな。)
「強力な召喚獣を引き当てる確率は運によって変動すると説明にあったが、確率はどういう計算なんだ?」
「強力な召喚獣を引き当てる確率は運の数値の半分ですね。」
「おお、ちゃんと教えてくれるんだ。」
(となると最高で15%、今の時点での運全振りで9%か。ガチャ確率としては悪くないが、回数が10連づつでは結構厳しいかもしれない。)
しかし、ガチャを引くのが唯一の楽しみになっていた俺には挑戦したくてたまらない。
他の人は引けなくても自分は違うという謎の自信が湧いてくる。
(まあ・・・それで引いた事ないんだけどね。)
「では召喚士にしますか?」
「・・・ああ。能力は運全振りで。」
女神の手をかざすとまた光が生まれ、俺に降り注ぐ。
姿がローブ姿に変わり力がみなぎってくる。
「これであなたは召喚士です。」
ステータスを確認すると、職業と能力値が確定されていた。
名前:シンヤ 種族:人間 性別:男 職業:召喚士
力:8 知恵:8 精神力:8 体力:8 器用さ:8 素早さ:8 運の良さ:18
装備:召喚士のローブ
「では、さっそく世界に送ります。」
「えっ・・・他に何か特典は・・・」
「では2度目の人生を楽しんでください。」
そう言われた途端、急に意識を失った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます