【双神と二人の弟子】

「弟子……私が……アシュヴィン双神の弟子……」



きゃーっと声を上げるセフィーナ。

その反応にビクッとするディノルド。



「お前……そんなに弟子になりたかったのか?」



「勿論よ!小さな頃からの夢だったんだもの!」



喜ぶセフィーナを見て、ディノルドが双神に頼み事をする。



「アシュヴィン双神、これまで通りの方法で知識を授けてもらえないだろうか。」



「勿論ですよ。セフィーナちゃんの伴侶がナーガと聞いた時から、そうしようと思っていたんです。」



「彼女には天界の薬草の知識も必要ですからね。」



その会話を聞いたセフィーナがハッとする。



「マリアも一緒に!マリアにも天界の知識を授けて下さい!」



「マリアちゃんに……?でも彼女は人間ですから……」



「違うの!マリアも女神になるの!だからお願いします!」



首を傾げる双神。

再びシャスタが説明する。



「え、ジェイフレドがマリアちゃんの?」



「彼を知っているんですか?」



シャスタに問われ、頷いた。


ジェイフレドは癒しを司る神。

医師であるアシュヴィン双神とは同系列の神と言える。

そんな関係から、彼らは顔見知りだったのである。



「え、本当ですか?私に天界の知識を?」



嬉しい話ではあるが、伴侶となるジェイフレドの反応が気になりその顔を窺い見た。


目が合った彼は微笑みを返し──



「授かるべきだよ、マリア。医者としての君には役立つ知識だからね。」



「はい。ありがとうございます、ジェイフレド。」



勧められ、嬉しそうに笑う。



「ふふ、まさかマリアちゃんが女神になるなんてね。」



「ジェイフレドのお陰ですね。私達の弟子を伴侶にしてくれて感謝しています。」



彼が居なければマリアは女神になる事はなかった。

人間としてその生涯を終えていただろう。


弟子と認めたマリアが永遠の命を持ち、セフィーナと共に自分達の知識を受け継いで行く。



素晴らしい師を持つ事は弟子の誉れ。

また、素晴らしい弟子を持つ事も師の誉れである。



長く下界に留まり、人間を救って来たアシュヴィン双神。

下界で育ったセフィーナと人間だったマリア。


彼らが目指すのは人々の幸せ──。



師匠から弟子へ。

その思いは知識と共に受け継がれ、未来永劫に続いて行くのである。





END

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