馬車マラソンへの潜入捜査

助っ人を求めて

【双神への依頼】

「お願い!二人で参加して!」



それは天界でのある日の事。

アシュヴィン双神に手を合わせてお願いするシルビアの姿があった。



「でも参加者は人間でしょう?私達が参加しても良いんですか?」



「FLAGの為ならオッケーよ!優勝と準優勝、総なめでお願い!」



返事をし兼ね、顔を見合わせる双神。



「シルビア、主旨が変わっているじゃないですか。賞金目当てじゃなくて潜入捜査でしょう?」



「あ、そうだった。」



テヘッと笑うシルビアに苦笑して。

シャスタが二人に捜査の協力を依頼する。


説明を受けた双神が依頼を快諾し、シルビアが歓喜の声を上げていた。



「うふ、資金稼ぎもできて一石二鳥ね。」



「女神シルビア、馬と馬車は自前ですか?」



「その方が助かるけど……」



「では自前で参加しますね。」



自前と聞いて、どんな馬かと目を輝かせる。


微笑んだダスラが馬を呼び、ナーサティヤが馬車を取り出した。



「うわ、馬車もしまえるんだ、」



驚くシルビアとシャスタ。

武器をしまってある異空間から馬車が出て来たのだ。

普通の神や女神は武器以外の物をしまっているらしい。



「神の馬車……意外とシンプルですね。」



もっと煌びやかな馬車をイメージしていたのだが、彼らの馬車は下界の馬車と変わらない物だった。



「私達は長く下界に居ましたからね。これは下界仕様の馬車なんです。」



「そうなんだ……。馬は?普通の馬?」



「いえ。あ、来たようです。」



言われて遠くを見るが、馬の姿は無い。



「女神シルビア、上ですよ。」



笑って上を指差すアシュヴィン双神。



「上?上って──」



見た瞬間言葉を失う。


白と黒。

二頭の天馬が空を駆けていた。



「そうでした……。アシュヴィン双神は翼のある馬を操るんでしたね……。」



つぶやくシャスタもその光景に目を奪われていた。



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