人の美しさ
@iimao
人という名の星のかけら
人は、美しい。
朝焼けの光を胸に抱き、
誰かのために祈り、歌い、手を差し伸べる。
名もなき優しさが、日々の隙間に息づいている。
老いた犬を撫でる手、
すれ違いざまの微笑、
言葉にならぬ思いやりが、人を照らす。
けれど、人はまた、醜い。
言葉を刃に変え、
恐れを怒りに、無知を傲慢に塗り替える。
救いの声をかき消して、
正しさを楯にして、他者を責める。
その手は時に、抱きしめるより先に拒む。
勤勉である人は、星を測り、大地を耕し、
空に橋を架けて歴史を編む。
夢を語り、失敗を乗り越えて、
世界に形を与える。
だがその同じ人は、怠惰でもある。
自ら考えることを放棄し、
享楽に身を委ね、責任を誰かに預ける。
変わらぬ日々に安住し、
崩れゆくものに目を背ける。
それでも、なお、人は美しい。
なぜなら、醜さを抱えながらも美を望み、
怠惰を知りながらも勤勉を選ぶ瞬間があるから。
揺らぎ、迷い、抗いながら、
それでも「善きもの」を目指すその歩みが、
何よりも尊いのだ。
光と闇が一つの心に共存する。
それが人であり、
それが人の詩であり、
哲学であり、
生そのものなのだ。
人の美しさ @iimao
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