第11話 秋元先輩の本気

「いっけーーー!!!」

秋元先輩がまさかのスリー!!

「ちきしょうっ」

鵲がつぶやく。つぶやくレベルじゃなかったけど。

でも、俺だって負けてらんねえぜ?というか、俺のマークだから鵲の視線がいたい。でも、言い返せねえ~~~~。

でもさすが秋元先輩。秋元玄の息子さんなだけあるなあ。

と、思っていると鵲がパスをする。

おい、どこ投げてんだよバカ。

俺が何とかとる。あっぶねえなあ。

秋元先輩がディフェンスしてくる。でも負けねえ。

秋元先輩のディフェンスは鋭い。 一歩の間合い、手の出し方、視線の誘導__。すべてが経験でできている。 だけど、こっちは気持ちでぶつかるしかない。


ドリブルを一度、強く床に叩きつける。 秋元先輩の重心がわずかに揺れた__その瞬間!


「抜くっ!」


左へフェイント、からの右へ切り返し! 秋元先輩の足が一瞬遅れる。 その隙を逃さず、ゴールへ一直線!


「いけえええええええっ!!」


跳ぶ。 空中で、リングと自分だけの世界になる。 そして――


スパッ。


ネットが揺れた。


「ナイッシュー!!」

末政先輩の声が飛ぶ。 鵲は何も言わずに、でもちょっとだけ口元が緩んでいた。

「,,,,,,,,,やるじゃん。」

その一言が、なぜかすごく嬉しかった。

スコアは再び並ぶ。 ㋴23ー23㋩


残り時間は、あとわずか。

「次、決めたほうが勝ちだな。」

末政先輩がボールを拾いながらつぶやく。


「よし、ラスト一本、全力でいこうぜ。」


ダムダムダムダム

スタメンとかいうより、勝つことに対してこだわりはじめた。

勝つ、勝つ。その気持ちだけが頭を渦巻いて、やってられない気持ちになる。勝つ。負けたくない。

でも秋元先輩はやばすぎる。


秋元先輩は、昔。

バスケ部でいじめられていたらしい。

息子というのに、そんなにうまくない。そんな理由で。

息子というのがプレッシャーで、耐えられなかったこともあったらしい。

でも、今は。

それのおかげで飛び出している。

秋元先輩にとっての勇気は、経験は、プレッシャーだ。

それを感じて強くなる。だから強い。でも、、、、!


スリーだっ!入れえええええ!!!!!!!




スパッ



ボールが、音を立てずにネットを通る。 

ああ、勝ったんだ!!!!



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