綺麗じゃなかったけど好きでした。
@kurodesuga
第1話
プロローグ
初めに、数ある作品の中で
私の作品を選んでくださり誠にありがとうございます。
初めて小説を打つこともあり、
少し不慣れで見にくい部分あると思いますが、
最後まで見届けてくださると嬉しいです。
当時私が経験したお話を軽く変えて
皆様にお届けしやすいように作品を作らせて
頂きます。
是非、楽しんでいってください。
1.
中学1年生
幼少期から、恋愛や性のことに対しての関心が
人並み以上に強い私は
色々と体験することが早かった。
当時の私は
自分のことを考えずに
相手の流されるままに流されて
行き着く先まで行き着いてそれを自分のせいにしてそれが間違えていると分からずにいた。
中学3年生の先輩
鎌野くん。
あまり思い出したくもない事なのですが、
初体験というのもあり、
そう簡単に忘れられる経験ではありませんでした。
同じ中学に通う彼は、
一際目立って、いつも色んな人に囲まれているような方でした。
鎌野くんと会えるのは、お昼ご飯の終わりのグラウンド。
遠くから見ながらニヤける、
よくある恋愛漫画のようなシチュエーション。
何度も見てきたその姿だったのに
その日は違いました。
グラウンドから帰る廊下の突き当たり右に
鎌野くんの教室。
その2階上に私の教室。
いつも、周りのみんなを避けながら
笑う鎌野くんの横顔を見ていた。
学校の終わりとともに学年それぞれ一斉下校。
その日の私は運良く、
鎌野くんの階のトイレ掃除になった。
ついつい、トイレから1番遠い教室なのに、
鎌野くんの姿を探してしまう、
3年生はその日掃除はなかったみたいで、
鎌野くんはもう居なかった。
掃除が終わり、1階に降りてすぐの体育館に目がいった、
汗の雫を垂らした鎌野くんが水を飲みに
外まで出てきて、あろうことか私に声をかけた
「1年生?」
「はい!1年です。」
「元気いっぱやね、笑」
モテるのも分かる。
愛くるしい笑顔に愛嬌のある声。
誰でも彼を好きになる。
「俺、3年生!」
「そうなんですか!」
「今、バスケしてんねん」
「バスケですか?」
「うん、好き?」
「好きです」
「そっか、好きそう、笑」
そう笑いながら近づいてくる鎌野くん、
その笑顔に何度騙されたことか、
今思うとこれも作っていたのかと思うけど、
どうしても憎めない自分がいるのも事実。
彼を嫌いになんてきっと一生なれない。
「名前、教えてや」
「ほなみです。」
「ほなみ?」
「はい!」
「どう書くん?」
「うーん、帆に、南?」
「それを聞いてんねん、笑」
「鎌野さんの下の名前、は?」
「優大、優しいに大きい書くねん」
「名前の通りですね」
「せやろ、よう言われるで」
「ほなみ、またじゃあ話そ!」
「はい!」
「あ、何組?」
「あ、1組です!」
「お!俺と一緒や!じゃね!」
「はい!」
そこから1週間が経って、
期待していたグラウンドに鎌野くんが来ることは無かった。
土日を挟んで月曜日、
この日をどれだけ待ち望んでいたことか、
私は胸を躍らせながら恐る恐るグラウンドに足を踏み入れる、
鎌野くんは居なかった。
もしかしたら転校してしまったのかと思って
知り合いの3年生に聞いてみても、
「ほんまや、おらんな」
人気者の彼が周りの子が知らない事があるのかと、驚いたが、安心できた。
次の日、学校に向かう途中に携帯の通知が鳴った
そこにはkamanoの文字。
2度見をした私は恐る恐るその通知を押すと
ほなみ!
と一言大きく書かれているトーク
はい!ほなみです!
ほなみ!俺、熱、
え、?熱?
グラウンド見た?
え、?
俺、ほなみ探してる今
グラウンド、?
ううん、入口
熱なのに登校して大丈夫ですか?
ほなみ、どこ?
私、もう着きます!
お、ほなみおった!
え、どこですか!
「ここ!」
「びっくりした!」
「ほなみ、今日ズル休みやで」
「え、?」
「おいで!」
こんな恋愛漫画のようなシチュエーション
憧れていた私は、
引かれていた手を振りほどこうとは到底思えなかった。
ついた場所は、私の思い描いていた少女漫画のような場所とは違った。
「ここ、って」
「俺の家!」
「え、?」
「いや、家には入れへんよ?」
「ですよね、笑」
「入りたかった?」
「大丈夫です、笑」
「流石にそんなんせーへんから安心して」
「よかったです。」
「ほなみ、俺探してた?」
「え、?」
「グラウンド、いつも探してるやろ?」
「知ってたんですか?、」
「流石に目線ってものはな、」
「ごめんなさい、」
「いいよ俺も見てたし」
「え、?いつですか、」
「ほなみの知らんとこかな」
「確かに、気づかなかったです」
「俺、そういうのうまいからさ?」
「私が下手なんですね、」
「そゆこと!」
「これどこ向かってますか?」
「俺ん家の階段!」
「マンションの?」
「暑いかな?」
「確かに、」
「でも、人に見られへんとこってここくらいしかないから」
嫌な予感はしていた、何となく
自分でもわかってた、この後どうなるのか
憧れを抱いていた私は、分かっていながら
のうのうとついて行った、だから、私も悪い。
「ほなみ」
「はい。」
「ほなみ俺のこと好き?」
「え、?」
「こんなことした後に聞くの最低やけど、」
「好きじゃないです」
「そうなんや、」
「鎌野くんは」
「俺が好きって言うてもたらその方が最低や」
「そう、なんですかね」
「ほなみ俺のこと好きじゃなくていいから、嫌いにならんといてな」
あの時言った鎌野くんの言葉と顔を鮮明に覚えている。きっと憎めない理由はここにある。
真相ははっきり分からないけど、
鎌野くんの声は少し震えていて、
今にでも泣き出しそうな顔をしてた。
その1ヶ月後
鎌野くんと連絡が取れなくなって1ヶ月
学校に来なくなって1ヶ月
3年生の先輩から通知が来た。
ほなみちゃん、急にごめんね
はじめまして、沙弥って言います。
優大のこと知ってるよな?
はい、知ってます。
はじめまして。
優大とそーゆうことしたのってほんま?
はい。しました。
優大に彼女がおるのは知ってた?
彼女いるんですか、?
ごめんな、ほなみちゃん。
きっと凄く辛い思いしたと思うねんよ、
沙弥が彼女やねんよ、
ほなみちゃんも被害者なの分かっとるから
責められへんから、沙弥も複雑やねんけどさ、
優大と付き合っていくって話して決めたから
ごめんやけど、もう優大に関わらんといて。
精一杯やから、沙弥も、ごめんな。
鎌野くんと、最後に連絡を取ってもダメですか
ごめんな、いいよ言うてあげたいねんけど
優大にそれをさせてしまったら
これからが心配やからさ、
ほなみちゃんの為にも、もう、
関わらん方がいいと思うよ。
わかりました。ありがとうございます。
すみませんでした。
そのまた1ヶ月後
少し寒くなってきて、
暖かかった頃が懐かしくなってきた頃に
泣いていた私に友達が言った、
鎌野くん、彼女と子供出来たらしい、って
あの時ちゃんと話せてたら、とか
もし私がちゃんと断ってたら、
気持ちを伝えていたら何かが違ったかもって
思ってたけど、
辛い経験をさせてくれた鎌野くんに
ありがとうを伝えたい。
もしいつかどこかで会えた時に
笑って話せる日が来るように。
綺麗じゃなかったけど、
好きでしたよ。
ちゃんと、凄く好きでした。
私の、初恋でした。
綺麗じゃなかったけど好きでした。 @kurodesuga
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