クラスの隅でラノベ読んでる陰キャだけど、学校をテロリストのハイジャックから守ったら、魔法少女、宇宙人、アンドロイドの美少女たちにロックオンされました!

万和彁了

第1話 おいおい美少女たちに囲まれちまったぜ!陰キャなのに…

 俺は陰キャだ。異論は認めない。今日もクラスの隅で現代ハーレムラブコメをニチャニチャ読んでいる。


「おめぇまじきめぇんだよぉ!」


 俺の机をげしげしとクラスのヤンキーとサッカー部のエースとその取り巻きのキョロ充たちが蹴りまくっている。そしてヤンキーが俺からラノベを奪い去り、台詞を朗読し始める。


「今パンツ見たでしょ!もうお嫁にいけない!だってよ!ぎゃははは!」


「「「がははは!」」」


 俺はいつもいじめを受けている。ひとしきり弄られた後にラノベをポイっと床に捨てて一軍男子たちは去っていった。俺は埃を落としてから、再び読書に戻る。この世は腐っている。壊れてしまえばいい。


「だけどこのシリーズの終わりが読めないのは辛い」


 ヒロインが可愛いんだ。黒髪ロングの幼馴染で清楚でちょっとツンとしてるけど毎日起こしにきてくれてお弁当も一緒に食べてくれる。俺もそんな彼女が欲しい。それに比べてリアルはくそだ。この教室にはそんな可愛い女の子はいない。みんな女子特有のねちねちしたマウントの取り合いに勤しむ港区女子予備軍のカスばかりである。しかもそんなに美人でもない。ほんとクラス替えしたい。


「なあなあ東江さんってさよくね?」


「わかる。よく見るとすっげー可愛い顔してるよな」


「それに胸もでけぇ。地味女子たちと絡んでるからわかんねぇけどまじでいいよな」


「目立ってないからまだ彼氏いないだろうし、狙っちゃう?」


 クラスの二軍系男子たちが東江あがりえという女子を見ていた。下の名前は天音あめねというそうだ。地味系女子と一緒に地味な感じでトークしている。どこか小動物的なおどおどした感じ、長めのスカート。長い髪で目元が隠れがちだが、確かに顔はわりと、いや、滅茶苦茶いい。すごい美人。地味って言葉が信じられないんですけど?それにだ。スタイルもタイトな制服のせいでぼんきゅぼんなのが分かる。地味って何?そして極めつけは髪の毛だ。肩にかかるくらいの短めウルフだが、ピンク色だった。それも染めた感じじゃなくて自毛としか思えない自然のピンク。ドピンク。地味?


「目立ちすぎじゃない?」


 だけど彼女が男子に絡まれているところを見たことがない。未だに俺だけが知ってるかわいい子みたいなポジションを維持している。地味?


「やっぱさぁ。カリストゥスさんってほんと美人だよなぁ」


「高嶺の薔薇って感じ」


「全国優勝してMVPに鳴って将来はNBLでも活躍予定のバスケ部キャプテンの告白も断ったんでしょ。すげぇよなぁ」


 俺はカリストゥスと呼ばれた女子を見る。彼女の名前はカエキリアというらしい。窓際の席で外をぼーっと見詰めていた。その憂い顔はとても美しい。だけど何処の人種か全くわからない。俺も世界中のあちらこちらに行ったけど、どこの民族にも人種にも特徴が当てはまらない、だけどとても綺麗な顔をしている。究めつけは空のようなブルーの髪だ。こいつも自然の自毛のような感じで染めた感じには見えない。高嶺の花?青いバラは存在しないんだよ?


「目立ちすぎやろ」


 彼女は他人とは群れない。いつも遠巻きにみんなから憧れられている。一体何もんなんだか。


「やっぱさぁ能世ってビッチらしいぜ!」


「聞いた聞いた!放課後になると筆おろしの列ができるんだろ!」


「サッカー部のキャプテンと、野球部の部長と、軽音部のボーカルと、体育教師と、校長と、教頭と、PTA会長と、理事長と、教育委員長と、都知事と同時に付き合ってたらしいぜ!」


「それに怒ったわからせおじさんと種付けおじさんとヤリサーの部長さんが乱交パーリィーで彼女に挑んだらしいけど、返り討ちにあったらしいぜ!」


「まじかよ!俺も一発やりてぇ!」


「ばか!あいつとやったら種を吸い尽くされて腹上死して異世界に跳ばされるらしいぞ!」


「まじかよ……おっかねぇ」


 能世と呼ばれた女子を見る。名前は埴輪はにわというらしい。というか現在進行形で俺の机に座って短いスカートで足組んで座って一軍ギャル女子たちとぺちゃくちゃ喋っている。細いのにむっちりとした太もも、第二ボタンまで開けた大きいおっぱいから谷間が見える。本人は所謂白ギャル。ではない。どう見ても白人だ。ばりばりのアングロサクソン系美少女顔である。マリリン・モンローのコスプレとか似合いそうなザ・白人である。でも日本名。誰も特にそこは気にしてない。帰化人なのかな?それにしては違和感を覚えるが。埴輪なんて名前つけるか普通。


「目立ちすぎいいぃ」


 やっぱりこのクラスは変なので早くクラス替えしてほしい。でも学年上がらないとそれはないから無理。ならせめて席替えして欲しいなぁ。こいつらから遠ざかりたい。


「今日は席替えをするよ」


 教室に入ってきた長い灰色の髪に目の下にうっすらクマがあるとても美人な白衣を纏った女教師が入ってくる。うちの担任だ。この人もなんか変な気がする。


「赤点取ると先生が特別指導してくれるらしいぞ、裸で」


「まじかよ!あー!この間のテスト勉強しちゃったからなー!勉強しちゃったからなー!」


 もう何も言うまい。そして席替えが始まった。そして。


「よろしくおねがいします、纐纈くん」


「よろしく、了介あきゆき


「よろしくね☆りょう!」


 俺は窓際の一番後ろの席。そして隣に東江、前にカリストゥス、左前に能世がやってきてしまった。陰キャがこんな連中に囲まれたら熔けて死ぬわ!俺は現実逃避するために「嫁に浮気されたら、大学時代に戻ってきました!」を開いて読書に集中したのであった。


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