第8歯 死屍累々と死を司るもの

数時間後、弾は全て撃ち尽くし、

【パニッシャー】の刃は魔物の血で真っ赤に染まった。 周りは阿鼻叫喚の地獄絵図。魔物の死屍が荒野に山をなし、蒸気管の残骸が

血と混ざってキナ臭え匂いを放つ。

「ふぅ…久々に楽しんだぜ! 実験は大成功、魔石の力はバッチリだな!」

返り血を拭いながら笑ってると、

軍曹が近づいてきた。その双剣も血に

濡れてるが、目は冷静で、

どこか戦士の風格が漂ってる。

「お疲れ様です、少尉。で、この惨状

どうするんですか!? それに、こんな

バケモノみたいな武器、よく作りましたね! 一度使ったら…絶対マズいですよ、

帝国内で!」

軍曹も無事任務完了らしい。

【サンダーボルト】と【インフェルノ】の

弾痕が、遠くの地面を焦がしてる。

「おお、軍曹もバッチリじゃん! どうだ、

すげえだろ? 火力も殺傷力も完璧!

魔石の力が病みつきになるのも分かるぜ。」

「なっ!? べ、別に楽しかったとか、

また使いたいとか思ってません! …ちょっと気持ちよかっただけです。 でも、こんなの

軍事任務じゃ使えませんよ! 強すぎるし、

魔術絡みなんて、皇帝派にバレたら

即査問ものです!」


軍曹の頬が微かに赤い。 どうやら新武器に

ハマっちまったらしい。戦闘狂っつーか、

蹂躙を楽しむのは兄妹の血だな。 だが、この武器をどう隠すか、帝国内の目をどう誤魔化すか、課題は山積みだ。

「ん? 少尉、なんか…遺骸が動いてる気がします。 それに、地面にキラキラした石が…!? なんですか、この頭蓋骨みたいな形!?」

よく見ると、魔物の遺骸が微かに蠢き、まるで何かに吸い寄せられるように一箇所へ集まり始めてた。 遺骸のあった場所には、赤、青、紫の小さな髑髏形の魔石が

ゴロゴロ落ちてる。

「…嫌な予感しかしねえ。これ、ジャックの言ってた『魔物の魂の欠片』じゃねえか? とりあえず、魔石は全部回収だ。遺骸は燃やして証拠隠滅!」

鞄に魔石を詰め込み、火炎放射器で遺骸を焼き尽くした。 炎が荒野を照らし、魔石の光が不気味に脈打つ中、俺たちは基地へ戻った。


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数日後、軍の情報部門から勅令が届いた。「怪しげな死体のような生物が重要都市に接近中。至急、偵察し、可能なら撃退せよ。」

報告書には、魔物の異常な増殖と

「魔術の痕跡」が記されてた。 帝国内は

大混乱。皇帝派は「魔術師の陰謀」と騒ぎ、

技術派は「新兵器で対抗」を主張。

俺と軍曹の名前が、なぜか上層部のリストに上がってるらしい。

「イーグル部隊の魔石使用疑惑」だとよ。

ジャックの野郎、こんな騒ぎになるって

分かってたのか?

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