第3歯 始まりの魑魅魍魎
伝令兵からの報告を受け、
俺たちはすぐ現場へ駆けつけた。
辺境都市の門をくぐると、
蒸気管が破裂したまま煙を吐き、
歯車塔が半壊して火花を散らしてた。
だが、そいつらより遥かに
ヤバい光景が広がってた。
血飛沫の痕と死屍累々…まるで地獄だ。
「うっ…いったい、誰がこんな酷いことを…」
凄惨な廃墟と化した都市に、思わず吐き気がこみ上げ、苦虫を噛み潰した気分になる。
「帝国にこんな卑劣なことやれるのは、
魔法公国アーソナルしかねえ…。
だが、なんかおかしい。アイツらが魔法を使ってたとしても、遺骸の状態があまりに
エグすぎる。まるで獣が食い散らかしたか、
なんか…もっと得体の知れないもん
が暴れたみたいだ。」
怪訝な顔で辺りを探索してると、瓦礫の陰でガタガタ震える生き残りの住民を見つけた。
「た、助けてくれ…皆、ば、化け物に喰われて…お、襲われたんだ…」
男は恐怖とショックでまともに喋れねえ
みたいだが、気になる言葉を口にした。
「化け物だと? どんなやつだ、
はっきり言え!」
「た、助けて…まだ死にたく…グハッ!」
突然、男がもがき苦しみ出し、
大量の血を吐いた。
そしたら、そいつの口からデカくて
醜いカマキリみてえな何かが
飛び出しやがった。
「…!? 何だこりゃ! よくわかんねえが、
原因の一つっぽいな。ぶっ潰す!」
いつものように二丁拳銃の引き金を引き、
頭を狙った。だが、ガキン!
化け物の甲殻が弾を弾きやがった。
「なんだと!? 俺の銃が効かねえだと?
どんだけ硬えんだ、この害虫風情が!」
お気に入りの武器をバカにされた気分で、
近くの鉄パイプを掴んで殴りかかった。だが、それも効かず、逆にパイプを
斬り裂かれ、俺は押し倒された。
「少尉、危ない! この害虫、食らえ!」
軍曹が双剣を抜き、蒸気噴射の
「エボルーション」を全開に。刃が高速で
唸り、怪虫の頭を一閃で貫いた。 怪虫は
キィィッと叫び、塵となって霧散した。
「…はぁはぁ、助かったぜ、軍曹。にしても、なんだこいつ? 銃が効かねえのに剣は効くって…どういう理屈だよ。」
吐血して死んだ男の遺体を呆然と見ながら
頭を整理してると、遠くの廃墟からガサガサと不気味な音が響き、複数の影が蠢いてるのが見えた。まるで、さっきの怪虫が
まだウジャウジャ潜んでるみたいだ。
「その理由は簡単さ。お前の貧弱で古臭い銃なんて、ただのオモチャだ。コイツらを倒すには、もっと特別な力が必要なんだよ。」
どこからともなく、若い男の声が響いてきた。廃墟の影から、黒いマントを翻す
長身の奴が現れ、片手に赤く光る
奇妙な刀を握ってた。
そいつの目は、
まるで俺たちを試すように鋭く光ってた。
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