第10話「保管期限を超えた転生希望者たち」2/2

翔真はココの動きを制御しながら、散乱したデジタルデータを回収する作業に追われていた。


資料室の片隅では、伊万里が新たに整備する転生希望者の保管ルールをモニターに映し出し、細かくチェックしている。


「これでようやく、情報漏洩のリスクを下げられるはずだ」


アルシアは静かに翔真のそばに寄り、ふとつぶやいた。


「翔真さん……転生希望者の魂は、デジタル化された情報以上のものだ。魂の揺らぎを感じ取り、調整するのは容易ではない」


翔真はうなずく。


「わかってます。でも、誰かがやらなきゃいけないんです。私たちが。」


「……ええ、だからこそ、あなたが必要なの」


その言葉に、翔真は胸が熱くなるのを感じた。


「僕も、もう少しだけ強くならないと」


そう決意を新たにして、彼はココの動きを見守りながら、作業に没頭した。


数時間後、資料室は元の静けさを取り戻していた。


「……これで全て回収完了か?」


翔真は最後の確認をしながら、深いため息をつく。


「やれやれ、ココも大人しくなったみたいだな」


ココは小さな羽をぱたぱたさせながら、翔真の肩に飛び乗る。


「うん、ちゃんと反省したよ〜。だって翔真くんが頑張ってたからね」


「ありがとう……でも、次はもう少しお手柔らかに頼むよ」


伊万里は書類の束を前に、珍しくにこりと笑った。


「翔真、今回の件であなたも一皮剥けたわね。これからはもっと責任感を持って業務にあたること」


「はい、頑張ります!」


アルシアは静かに頷き、翔真の背中を一度だけ軽く叩いた。


「あなたの成長は、この局にとって大きな力になるでしょう」


翔真は、仲間たちの存在を改めて実感しながら、書類の山を前に新たな気持ちでデスクに向かった。


——これが、転生管理局の日常。地味だけど、魂を繋ぐ大切な仕事。


明日もまた、誰かの人生を見届けるために。


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