第3話クズ



「間に合ったーーー」



俺は慌てて体育館の扉を思いっきり開けた

ジロジロと中にいた人たちが見てくる



「おい、あいつ、入学式始まる寸前に入って来るって常識的に考えてもやばいだろう、クスクス」


「それに〜見てよあれ、あのかっこどう見ても〜やばい制服ボロボロ〜」


「俺、アイツと同じ中学通ってたんだけどさ、アイツ、綺麗な女を見るたびに告白してるらしいよ、その数、総数、100人!!」


「何だと!!それは、ただのクズではないか!」


「キャ〜。クズと一緒にいるのヤダ〜」


「クーズ、クーズ、クーズ、クーズ」



などなど俺を見る途端会場に聞こえるような大声で話していた者だから俺のイメージは最悪だ、


ましてや、みんなで「クーズ、クーズ、」とクズアンコールまで出る始末であった。


さっきの話を聞いていたんだけど大まかにはあっていたので否定はできないが一点だけ間違っているところがあったので否定さしてもらおう。行くぞ。


「コホンっ あ、すまん、一点だけ間違っていたので訂正さしてくれ100人ではなく1000人だから。そこは間違えるなよ。俺の戦績だからさ、

頼むよ。じゃそれだけだから」


よし、言ったぞ。これで安心だ。


そう思って、周りを見ていると、ふと見覚えのある黒い長髪の女の子が会場から出ようとしている姿が目に入ってきた。

俺は咄嗟にその子が出ようとしているのを止めようと思い大声で話をかけた


「おおーーーーーい、いーーーつーーーは

なーーーに、してるーーーんだーーー」



女の子は、名前を呼ばれた事にビクッとし、バレたかと、肩を落としながら振り返って、早歩きで俺の方に駆け寄ってきた。






「何をやっているのお兄ちゃん。さっきの発言、早く取り消してよ、私、恥ずかしいんだけど、、、」


「何を言っているのだ、妹よ。俺は、ここに入学したらまた女の子に告白するぞ、ここの全校生徒は300人くらいで女子生徒は確か120人位だから・・・いけるな」




俺は興奮しながらプルプルと体を動かす五葉にそう言った

その時に気づいたのだが周りがザワザワ五月蝿いな



「クズ!早く出ていきなさい」とか「同じ空気を吸いたくない」とか、やばいな、ここ、一気にクズムードだ



(あ、やべ、やらかした)




「すまん、少し、声が大きかったらしい」


興奮していたため、普段より声が大きかった


「お兄ちゃんのバカ」


「おいっ!!五葉、ごめんって!!」


「もう、知らない!!」




五葉は、呆れたのか、俺が肩を掴もうとしても、振り払いそのまま、どこかへ行ってしまった。



その時だった


「キミ、少し、いいかな?」


透き通った、けれど芯のある声が、会場に響いた。


 振り返ると、そこに立っていたのは――

 一人の少女。


 長い銀髪が光を弾くように揺れ、翠玉の瞳が、まっすぐにこちらを射抜いていた。


 (なんだ……このオーラ……)


 その美しさに、思わず息を呑んだ。


 この瞬間の出会いを、俺は一生、忘れない











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