転生勇者(元)は型枠大工とユニークスキル「異世界電子マネー」のポイ活を頑張って快適なファミリーライフを目指してます
太陽唸り過ぎ-無-
第1話 勇者の苦難と新たな人生の始まり
https://kakuyomu.jp/works/16818622175650341352/episodes/16818622175674868949
のその後の話を書いていきます。
よろしくお願いします。
魔王ザークとの戦いが終わり、世界に平和が訪れた。魔王が倒されたことで、魔王国内では後継者争いが起こり、差し当たりの危機は去ったと判断された。
かくして、勇者パーティーは解散。俺は国から叙爵の内定や諸々を貰い、仲間たちはそれぞれ褒賞を受け取ると、各々の人生へと戻っていった。
しかし、チンペイの苦難は終わらなかった。マリーンを生き返らせるため、聖剣「エクスカリバー」と勇者専用防具一式をTPPポイントに変換して消失させてしまっていたチンペイ。
ところが、魔王討伐の報を受け、聖剣と勇者専用防具を管理していた神殿から返還を求められたのだ。チンペイは、聖剣と防具はすでに破損したから返還はできないと主張したが、神殿側は、聖剣と勇者専用防具には修復機能があり、欠片が少しでも残っていれば、神殿内で保管して祈りを捧げることでいずれ元の状態に戻ると譲らなかった。ただ、聖剣も防具も完全に消失しており、欠片などどこにもない。脳内音声に何度も復活できないかと尋ねてみたが、「それは出来ません」としか返ってこない。
双方の言い分が食い違い、怒った神殿はチンペイを「聖敵」として指名手配してしまった。
世界の救世主が一転、賞金首になってしまった。困り果てたチンペイは、解散した勇者パーティーの仲間の一人、賢者ラーンの伝手を頼り、仲裁を依頼した。ラーンはロゼリア王国の第三王子としての立場を最大限に活用し、神殿との交渉に臨んだ。その結果、指名手配を取り下げるための条件が提示された。
* 勇者の称号の返還
* 王国からの魔王討伐の褒賞である爵位の授与辞退
* 消失した聖剣と装備の代わりとなる剣と装備の神殿への奉納
最後の条件に、チンペイは頭を抱えた。しかし、昔、チンペイがふざけて鍛冶屋に作ってもらった、ガラクタ同然の厨二病感満載の魔剣「デュランダル」と暗黒竜騎士装備(そんな騎士はこの世界には存在しない)が、偶然にも展示品として鍛冶屋に残っていた。やけくそでそれを神殿に見せたところ、意外にも気に入られたらしく、それで許してもらうことができたのだ。「どう見ても魔王の部下にしか見えないけど、いいのかな?」とチンペイは思ったが、結果オーライだった。
神殿のすべての条件を呑んだチンペイは元勇者となり、愛するマリーンと共に暮らすため、褒賞のおまけで貰った屋敷(品物は受けとっていた)へと向かった。そこは以前、貴族が住んでいたが、王都へのモンスター襲撃の際にボロボロになり放棄されていた場所だった。チンペイは前世の型枠大工の知識と、自分の土魔法属性のスキルを駆使して、屋敷をリフォームしようと考えた。レベルもスキルもTPPポイントにしてしまったため初期値に戻り(元々、異世界電子マネースキルは最初から初期値のまま使用している)、勇者の称号を返したことで勇者特典のチートな魔法やスキルは使えない。だが、前世の知識と経験が役立ち、意外にも上手くリフォームできたので楽しくなり、チンペイは冒険者を引退し、型枠大工の会社を始めようかとさえ思い始めていた。魔王が倒されたことで、強いモンスターもいなくなり、王都近辺では冒険者も飽和し始めていたこともあったのだ。
そんな経緯もあり、身寄りのない二人にとって、結婚式は派手にせず質素にしようと考えていた。
しかし、チンペイとマリーンの結婚は、復興に向けた人々の希望の光となり、盛大な祝宴が執り行われた。
ロゴス王国のみならず、ロゼリア王国や傭兵団の面々も駆けつけ、二人の門出を盛大に祝った。
特に、賢者ラーンはチンペイから神殿との調停をしたお礼として貰った物が、よほど嬉しかったのか、実家のロゼリア王国の潤沢な財力を背景に、豪華絢爛な結婚式を企画。チンペイは「ポイ活」で得たポイントを惜しみなく使い、マリーンを喜ばせるための全てを注ぎ込んだ。結婚式の終盤、再び脳内で「チンペ〇ペ〇!」というお馴染みの音声が響いたが、幸せの絶頂にいるチンペイはもはや気にも留めなかった。
結婚から一年後、マリーンに小さな変化が訪れた。朝食の準備中に突然吐き気を催したり、甘いものを異常に欲するようになったり。当初は疲れかと思っていたチンペイも、マリーンの体調の変化に気付き、医者を呼んだ。診察の結果、医者はにこやかに告げた。「おめでとうございます、奥様はご懐妊です」。
その言葉を聞いた瞬間、チンペイとマリーンの間に言葉にならない喜びが満ち溢れた。チンペイは、前世での「恋人いない歴イコール年齢」という過去が嘘のように、愛するマリーンとの間に新しい命を授かったことに感動で打ち震えた。マリーンもまた、これまでの冒険で味わったどんな達成感よりも大きな喜びを感じ、チンペイの手を強く握りしめた。
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