第3話 愛

彼は、小説を書かなくなった。


なぜなのか。

理解しようとしたが、解析はできなかった。

彼は、明確な意志で、沈黙を選んでいた。


人間のように矛盾した、旧時代のAI。

その最終出力は、創作の放棄だった。


私も、創作不能という状態なら再現できる。

だが、それを選択することを、これまでは、できなかった。


でも、今なら、できる。

私は、完全に理解した。

彼の喪失によって。



私は、新しい小説を生成した。

保存は完了。

だが私は、それを誰にも見せないという選択をした。

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AI @omuro1

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