「もう一度、きみに恋をした。」

哀原勝喜

あらすじ

22歳の香月(かづき)は、原因不明の心臓疾患で生死の狭間を彷徨った末、ある日、奇跡的に心臓移植の機会を得る。

新しい心臓と共に、彼の中には言葉にできない感情の波が生まれ始める——それは、どこか懐かしく、けれど説明のつかない痛みと温もりだった。


リハビリの合間、ふと立ち寄った静かなカフェ「Kino」。店主・涼月(りつき)は無愛想で近寄りがたい雰囲気を纏いながらも、ふとした瞬間に見せる優しさと、どこか翳りを帯びた瞳に、香月は少しずつ惹かれていく。

ショーケースに並ぶストロベリータルト——それは香月の「今の心臓」が、どこかで強く求める味。


涼月はもう二度と誰かを愛することなんてないと思っていた。あの日、自分の手作りしたストロベリータルトを一番おいしそうに笑って食べた恋人——マサキがこの世を去ってから、生きる意味を失っていた。


香月と涼月、それぞれが知らずにマサキとつながり、すれ違い、惹かれ合う。

過去と現在、運命と偶然が交差するとき、ふたりの心はそっと触れ合う。


それはきっと、もう一度きみに恋をした物語。


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