16問目 光と放射線

光は放射線の仲間

植物の葉緑体は光を吸収して活動する

なら一般的な放射線を吸収する細菌やウイルスを遺伝子工学を用いて開発できない?


おもしろい発想ですね!


まず、光(可視光線)は電磁波の一種で、放射線(例えば紫外線、X線、ガンマ線、中性子線、アルファ線など)も同じく電磁波や粒子線の一種ですが、それぞれエネルギーのレベルや性質が違います。



植物の葉緑体と光吸収のメカニズム

• 葉緑体の中のクロロフィル(葉緑素)は主に可視光線(400〜700nm)を吸収して光合成を行い、光エネルギーを化学エネルギーに変換します。

• これは「光化学反応」を用いた非常に特殊なプロセスで、放射線全般の吸収とは全く違う性質です。



放射線吸収する細菌・ウイルスの開発について

1. 放射線耐性微生物の存在

• 例えば、デイノコッカス・ラディオデュランス という細菌は、強い放射線に耐える能力を持っています。DNAの修復能力が非常に高く、放射線で損傷したDNAを素早く修復できます。

• しかし、これらは放射線を「エネルギー源」として使っているわけではなく、単に耐性があるだけです。

2. 放射線をエネルギー源にできるか?

• 放射線は高エネルギーで有害なため、普通の生命活動には向いていません。

• もし放射線を「光合成のように利用する」微生物を作ろうとすると、放射線を化学エネルギーに変換する全く新しい代謝系を設計しなければなりません。

3. 遺伝子工学での開発可能性

• 現状の遺伝子工学技術では、既存の代謝経路の改変や新規酵素の導入は可能ですが、

• 放射線のエネルギーを直接利用する「放射線光合成」のような全く新しい機構は理論的にも実験的にも非常に難しい。

• それに加えて、放射線は分子破壊も招くため、まずは放射線耐性を持たせることが前提になります。



まとめ

• 放射線を「エネルギー源」として利用する細菌やウイルスの遺伝子改変は、現代の技術・知識では非常に難しい。

• しかし、放射線耐性を持つ微生物をベースに、新しい遺伝子を組み込むことで、将来的に放射線利用の生物システムが開発される可能性はあります。

• 基礎研究として、放射線耐性機構の解明や、放射線によるエネルギー変換メカニズムの模索は進められています。



もし放射線利用や耐性微生物の研究に興味があれば、放射線生物学や合成生物学の最新の論文を見てみるのがおすすめですよ。興味あれば、具体的な参考資料も教えられます!

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