その者追放された理由とは・・・・

箱九十九

第1話追放されし者

「お前は!追放だショウ!!このクランに必要ない!!むしろ邪魔だ!!」


クランリーダーであるジョイがそう僕に告げた。

クランリーダーの自室に呼び出されて一言目がその言葉だった。


「そ、そんな!まってくれよ、僕が、僕が何したって言うんだ!?」


雑用係だけど仕事は一生懸命していた、みんなの役に立とうと頑張ったというのに・・・。


「お前が何をしたのかわかっていないのか?さっさと出ていけ!ここにはお前の居場所はない!」


「おい、まて、なんで僕を急いで追い出そうとするんだ!!」


「うるさい!!ここのクランリーダーはこの俺だ!」


あまりの剣幕に驚きこれ以上追及することができず僕はクランから一文無しで追い出されてしまった。


一体僕が何をしたというのだろうか・・・・。

クランリーダーを激怒させるほど何をやらかしてしまったのだろうか。

追放される理由について身に覚えがない僕はこれからどうしていいかわからなかった。


さて、雑用係の彼はどうしてクランを追い出されてしまったのだろうか。

そう、彼に追い出される理由があったのだ。

戦闘能力がないから?

雑用の仕事ができないから?

そういった理由ではないもっと深刻な理由だった・・・。


ショウ、彼にはチート能力のない平凡な苦学生だった。

そんな彼が異世界で活躍できるか?と言われれば無理だろう。

一般人が現代で無双できないように異世界でも一般人が無双できるわけがない。

まあ、コネがあれば別だが・・・。


働き口を探し回ってお祈りされること数十件。

雇ってくれるところをやっとの思いで見つけたがまあ、酷かった。

眠れる時間は数十分、装備の整備からアイテムの補充やクエストの準備など膨大な量の仕事が待ち受けていた。

僕は仕事に押しつぶされそうになりながら必死に働いた。


そこいらの路地裏で冷たくなるか過労死するかの違いはあれど食事ができるこちらの方がマシではあった。

下位のクランメンバーさえも全部僕に雑用仕事を丸投げした。

僕を奴隷と勘違いしているのだろうが、僕も立派なクランメンバーには変わりないはずなのだが・・・。

水汲みから火起こしなど時間と体力がかなり消耗する。

弱音など吐く暇があるなら体を動かさないといけない。


一人じゃこなせない量を押し付けられ、優先順位をつけて終わらせていたのでなんとかギリギリではあるが間に合っていた。

睡眠時間を削るしかない。

薄暗い中できる作業とそうじゃないもの時間の限られているものなどは優先順位が高い。

というか全部の雑用丸投げされて一人じゃ無理な状態なのでごまかしテクニックが向上しまくったくらいだ。

あらたな新人が入るが雑用は一切してくれないため、僕の作業量は減らなかった。

そんな日々でストレスがたまりまくってしまった僕。


クランの食事を僕の好きなメニューにしたってバチはあたらないだろうと職権乱用した。

この世界にある食材をいろいろ試しながら僕はとある料理を再現しようと必死になっていた。

僕が必死で再現しようとした料理とは太郎である。


ラーメン太郎、山のようにそびえる野菜とパンチの効いたニンニクに背油が絡まり合い

究極ともいえる健康食それが太郎であった。

野菜とタンパク質がいっぱいとれちゃうすばらしい健康ラーメンそれが太郎

極太ワシワシ麺を再現するのに苦労した。

ニンニクっぽいようなそうじゃないような野菜も見つけたが、カエシがつくれなくて

なんちゃって太郎になったがそれでもこの世界の究極をつくりたかったのだ。


僕は食事に太郎を初めてだした。

だがしかし、クランの皆の表情は冷ややかなものだった。


「なんだこれは!この家畜のえさを俺たちに食べさせつもりなのか!」


そう叫んでいたのはサブクランリーダーのフェイだ。

彼は大柄の斧使いであり頼れるアタッカーであるが、短気なのだった。

まあ太郎の見た目は美しいとは言えない。

見たこともないボウルにこんもりのった野菜。

プルプルで存在感のある立派なチャー様

そこに雪の化粧をしたと見間違うような背油がかかっている。

完璧なパーフェクト太郎の姿なのだが初見ではまあよくない反応はあるあるだ。

まあ、そうだ。

僕だって太郎童貞のときはこんなもの二度と食うかという感想だった。

そして次の日にまた食べてしまったんだよなぁ。

本当によくわからない感覚だった。

3回目にしてドはまりしたという感覚が芽生えてくるのだ。

このラーメンは神かな?ってね。

そんなわけで僕はクラン皆に文句を言われながら頑張って3日の提供を終えたあと

通常メニューをだしたのだった・・・・。


そしたら何故かあの料理をだせと半数以下のクランメンバーが要望された。

でも賛同が半分超えてないとと僕がもったいぶったら翌日には半分以上の希望者が太郎を求めていた。

僕は彼らの期待に応えるために毎日腕を酷使しながら太郎を作りつづけたのだ。


クランのみんなが太郎を初めてたべてから半年が経過した。

スマートだったクランメンバーはみんな丸みを帯び立派な太郎常連客ボディーになっていた。

これはロットを乱さない面構えだという風格すら感じさせる。


銀琴と謡われたクランの美姫であるサシャも見る影がないくらいの太郎ボディーである。

野菜マシマシ提供を解禁したのがまずかったの個人的には思っている。

エルフのサシャはチャー様抜きであぶら野菜マシマシで食べるのだ。

もちろん太郎がダメという人には別メニューを提供していた。

それがクランリーダー一人だけだったけどね・・・。


男性陣はエールを飲みながら太郎をすする。

ドロドロ系のエールなので腹にたまりそうなのだがそれにプラスで太郎だ。

強靭な胃袋をもっているのだろう。

最初は夜だけ提供していたが、朝も食べたいと強い要望により朝食夕食ともに太郎提供になった。

僕が麺うちに忙しいので下位のクランメンバーは率先して雑用をこなすようになり

僕はさらに太郎作りに没頭できるようになった。


味玉は評判中の評判でもっと入れてくれと言われるくらいだ。

そんな幸せな太郎生活をエンジョイしていたというのに・・・・。


僕が太郎をつくってからクエスト達成率が上がったので、クランランクも上がり名声も増したのだが一部評判は下がってしまった。

依頼も増えて貴族からの声もかかりやすくなりクラン運営はうまくいっていた。


僕は何故クランを追放されたのだろうか・・・・。

その理由がいまだにわからない。

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お久しぶりな投稿です。

設定ばかりに詰めすぎて出力しないマンになりました・・・。

リハビリ的な感じで短編?書いてみましたがどうでしょうか?

何故ショウくんはクランを追放されなければならなかったのだろうか・・・。

書いている私もよくわかりません。

つづく?だれが続き読むんだよこれって感じに仕上がりましたね。

この世界でも出ました太郎!

みんなお待たせ!へい!おまち!

こっちの太郎の出汁は謎ファンタジー食材出汁です。

魔法の白い粉とかないからね。まあUMAMIは頑張って作るのだよ。

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