密かにオカルト趣味を持つ花畑ゆりあは、友人のギャル河合笑歌から呪いのぬいぐるみが送られてきたという相談を受ける。笑歌を助けるために人形を確認しに向かうゆりあだが、笑歌に見せられたそのぬいぐるみは以前にゆりあが作って別の女性に送りつけたはずのものだった!
この呪いのぬいぐるみが製作された裏には、一人の浮気男を巡る女性たちのドロドロな思惑が交錯していて……というある意味お約束な展開が待っているのだが、本作が凄まじいのは女性陣のキャラが皆強烈すぎるせいで、ドロドロっぷりが読者の想定を大きく超えてくるところ。
登場人物に最初に抱いていた印象が読み進めるにつれて大きく変わっていき、意外な展開も続出して、様々な形で想像を裏切ってくれる。
作者が「ハピエンではないです」と注意書きしているように、終わり方もかなり後味の悪いもののはずなのに、どこかに爽快感も感じられて、「ホラー小説ってのはこうでなくっちゃね!」という気持ちにさせてくれる一作だ。呪いとか爛れた人間関係が好きな人は是非どうぞ!
(新作紹介「カクヨム金のたまご」/文=柿崎憲)