気づいてくれるまで待ってる

@159roman

気づいてくれるまで待ってる

 彼に出会ったのは学園に入学した日。


  壇上で新入生代表の挨拶をする彼から得も言われぬ良い香りがした。



 その日からずっと彼に恋い焦がれている。




 今日も教室で彼は女子生徒たちに囲まれている。


 顔良し。家柄由良し。文武両道な彼はとてもモテる。


 幸運なことに彼と同じクラスになれたので、彼らの会話にそっと聞き耳を立てる。



 私が彼に感じた得も言われぬ良い香りは番の香りらしい。


 人間の父と猫獣人の母を持つ私は猫獣人ハーフ。

 猫獣人の特徴の猫耳と尻尾はお気に入り。

 身体能力は、そこまで高くない。


 番への衝動もハーフなので強くはないけれどある。

 本能なのかどうしても彼が気になってしまう。


 番は同種族ならお互いに惹かれあうことが多い。

 人間の彼と獣人ハーフの私ではどうなのかな?



 犬獣人の親友は「いい加減、告白すればいいのに」と言うけれど、

それは違う。


 いま告白しても玉砕する気がする。

 これは猫獣人の狩人ハンターとしての勘。ハーフだけど。


 耳をぴんとそばだてて、しっかり研いだ爪は隠して。


 彼は積極的な女子はお好みではない様子。



 学園生活は始まったばかり。



 彼が私を番と認識してくれるまで、待ってる。

 

 私は『待て』ができる猫獣人ハーフ。




 気づいてくれるまで待ってる。

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